キンシャサに来たヒラリー・クリントン

まずヒラリー・クリントンがらみでどういう事件がおきたか?

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-10492020090811

[キ ンシャサ 10日 ロイター] 11日間の日程でアフリカ歴訪中のクリントン米国務長官が10日、訪問先のコンゴ民主共和国で地元の大学生から、夫のビ ル・クリントン元米大統領の外交政策に関する見解を質問され、「私の夫は国務長官ではない。私が国務長官だ」と語気を荒げる一幕があった。

  首都キンシャサで大学生から、中国の対コンゴ経済援助についてクリントン元米大統領の見解を聞かれた同長官は「あなたは私の夫の考えを私に言わせたいので すか」と腹立たしげに答えた。その上で「私の意見を聞きたいのなら、私は自分の意見を話すが、私は夫の伝達者にはならない」と付け加えた。

この記事を読んでひらめくところがあったので英語ソースをあたると、質問をした男性の大学生はフランス語を母国語としており、会見の後で「自分の意図が伝わらなかった」と謝罪したことがわかった。ソースは下のAP記事。

http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5hJUIqTHOETG5ziq
X7qtQz8ZOfvgD9A0B6MG0

ヒラリーを怒らせた質問は↓

What does Mr. Clinton think through the mouth of Mrs. Clinton?
「夫のクリントンさんは奥さんの口を通じて何を考えているのか?」

これに対し、ヒラリーが私は旦那の口移しを喋る霊媒ではないと怒りを爆発させたのだ。ところで、コンゴにはコンゴの特殊事情があり、それを理解しているとヒラリーはもう少し冷静に対応できたのではないかと思う。

ま ずコンゴで現在、圧倒的人気を誇る歌手/ダンサーにビル・クリントンという人がいる。もちろん、これは芸名で本名(Nome Authencite、ノム・オータンシテ)は全く違う。湾岸戦争の頃からだろうか、戦争のリアルな映像がコンゴで流れて以来、米軍はカッコいいぜという 風潮が広まり、現地ではペンタゴンと呼ばれるファッションが流行った。これは何かというと米軍の迷彩服をステージ衣装にすることである。そういう流れのな かで出てきたのがビリ・クリントンという男だ。この人の歌と踊りは下のビデオで見ることができる。ちなみに曲の題名は「オバマ大作戦」だそうである。そこのあな た、笑ってはいけない、本人は大真面目なんだからw

http://www.youtube.com/watch?v=036tIxLVXGA
Congo - Bill Clinton Kalonji - Operation Obama -Tshikibwa

ビデオを見たかたはサーカスか昔のチンドン屋を思い浮かべたかも知れない。だが、この音楽が過去数十年に渡りコンゴでそしてアフリカ全土で圧倒的に支持されているダンス音楽なのだ。

コンゴに行ったことのある人はよくご存知と思うが、街中どこでもうるさいくらい流行の音楽がかかっている。ビリ・クリントンのようなスターの存在感は圧倒的であり、ひょっとするとコンゴの大統領をこえているのではないかと思う。

つまりキンシャサでクリントンと言えば、100%間違いなく歌手/ダンサーのビル・クリントンを指す。そこから上のようなトンチンカンな問答が生まれたと私は思う。それは質問をした男子学生の間違いかフランス語から英語への通訳のミスかは不明だが。

し かし、ヒラリー・クリントンがキンシャサで遭遇した不幸な「事件」に関して知っている日本人はたくさんいるだろうが、その「事件」の裏事情まで理解できる 人が日本に何人いるだろうか?恐らく外交専門家などは青筋を立てて、そんなくだらない事状など知る必要がないと言われるだろう。だが、この事件をキチンと 分析しようと思えば、やはり歌手/ダンサーのビル・クリントンの凄まじい人気を知っておく必要があると私は考える。

このように情報を解析するというのは非常に大変な作業なのだ(笑)。