世界旅行者の心得 パート1

おいしい水

地 球の歩き方みたいなガイドを読むと、きまって現地の水を飲むなと書いてある。だが「現地の水」はそんなに健康に悪いのだろうか?私はキンシャサ(コン ゴ)、ナイロビ(ケニア)、カラチ(パキスタン)、リオ・デ・ジャネイロ&サン・パウロ(ブラジル)、アメリカ西海岸、パリに行った時、全て現地の水道水 を飲んで過ごした。問題がおきたのはキンシャサだけだ。大体、現地の水を飲んでみないと日本の水の評価ができないではないか?ひょっとすると海外の水のほ うが美味しいかも知れない。行ったことはないがチリあたりの水は日本より美味しそうな感じがする。実際に欧州系資本が水利権を抑えている。

キ ンシャサの水はさすがにダメだった。これには理由があり、上水道と下水道が混じりあっていたからだ。つまるところウンコ味の水か水分が多いウンコか、いや まあ、そこまで酷くはなかったが、水が美味いかどうか以前に衛生面で大いに問題があったからだ。しかしである、世の中にはキンシャサの水は十分、美味いと いう人もいるのだ。この人は同じコンゴ音楽ファンであり、同傾向の楽器演奏者なのだが、コンゴ音楽の魅力にとりつかれ、コンゴの人間国宝的打楽器奏者に弟 子入りしてロコレと呼ばれる木製スリット・ドラムの叩き方を習った。

時々、勘違いをしている人がいるが、コンゴでフォルクローレと呼ばれ る部族音楽的なタイコを叩いてる人はそうしたタイコしか叩けない訳ではない。人にもよるがラタマキュー(これが何であるかは検索してください)などの高度 なルディメンツを駆使したモダンなドラミングができる人もいる。彼らは部族の伝統音楽が好きだからいわゆる「土人のタイコ」を叩いているのであり、商業的 に成功したポップ・グループから声がかかると全く違うスタイルで演奏したりする。これは日本でも同じで和太鼓の名人の多くはジャズやロックを叩かせてもう まい。

話がそれたが、この人と話してる時に私がキンシャサの水を飲んで猛烈にやられた体験を話すと、この人は不思議そうな顔をして「胃腸 が弱いんですか?現地のコンゴ人が平気で飲んでるのに日本人が飲めないわけ無いでしょ」と言われた。この人はあまりに現地化/コンゴ人化が進みすぎている と思う。何故なら、命知らずが多いコンゴ音楽ファンでも普通はキンシャサの水道水は飲まないからだ。だが、結局のところ現地の水が危ない、不衛生であるか どうかというのは本人の考え方次第でもあると思う。

そして飲んでみないと、現地の水が美味しいか/衛生的か判断できないと私は思う。そして私はキンシャサの水を飲んだおかげで「北斗の拳」の有名なセリフに矛盾があることに気がついたのだ。パート2に続く。