ちょっと贅沢な国家破産 番外編
(このエッセーは2003年頃に書いたものに加筆しました)

昔、 グーグルのディレクトリに載るレベルのサイトを運営していた時もそうだが何故だか私の書くエッセーを(頼んでもいないのに)賞賛してくれる人はいるが、私 が制作した音楽を誉めてくれたのは英国人DJマーチン・シノックとブラジルで古いサンバの復興運動をやっているアナさんという外国人二人だけだった。それ だけリズムがきつすぎるということかも知れない。という訳で昔、制作したファンクのmp3を晒してみる。

地平線

なお、このサイトにおいてある失われた夏という曲も国家破産したした後のアルゼンチンのパンパを吹き抜ける夏の風を意識して制作した。誰も気付いてないだ ろうが。ということでアルゼンチンの国家破産の話である。
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先日、日経を読んでいたら2003年度のアルゼンチンの経済成長率は8%、株式の年初からの上昇率は90%とあり私はあぜんとした。国家破産しそうにない 日本の成長率は2%以下、株式の上昇率は40%程度である。これなら日本は国家破産を選んだほうが良いではないか?

The Financial Timesのサイト、www.ft.comにアルゼンチンの国家破産のフォーラムがあり世界中からの投稿があり賑わっている。アルゼンチンからのものも多 数ある。ということは電気/通信/プロバイダーといった社会のインフラ部分で、アルゼンチンに大きな問題は無いことになる。実際、私はこのフォーラムを時 々のぞくのだが深刻さがまるでないのだ。

会社が倒産すれば社長が樹海に行ったり専務が練炭をたいたり常務がロープを買ったりとせわしない 日本とは随分違うではないか!国家破産の結果アルゼンチンの通貨ペソが猛烈に安くなり輸出競争力が出て、結果として貿易黒字が増える。それは経済学的には 間違ってないが、私は何か違和感を感じるのだった。

私に説明できることがあるとすれば、ラテン・アメリカは国の概念が違うのではないかと いうことである。これを日本人に思い知らせたのはペルーの前大統領アルベルト・フジモリ氏だが、彼はペルーと日本の国籍を2重に持つと主張しまっとうな日 本人の精神をクラクラと揺さぶったのだった。アルゼンチンの国家破産の後、多くの若者がスペイン国籍を取得した。スペインは、日本と同じく老齢化し若い労 働者を必要としている。実際、スペインはアルゼンチンの国家破産で多額の利益を得たのだろう。

ここで私は不思議に思うのだが、アルゼンチ ンは膨大な国土と領海を持つ。その一部を売れば、簡単に国家債務を返却できたはずだ。だが、何故か、その道は選ばれなかった。だが、アルゼンチンは資源国 であり、自給自足率が高い国であるうえに旧宗主国スペインに労働者を派遣し外貨を稼ぐという手段で復活した。

ここにも私が国家破産論者を 嫌う理由がある。例えば、中小企業が3日後に1億の手形を落とさないと倒産と見なされると仮定しよう。だが社長/会社のオウナーは東京電力の株10万株を 持っており、いざとなれば、この株を処分して、個人の金を会社に融資した形で手形を落とすつもりだった。だが、突如として東電の株のインサイダー疑惑が持 ち上がり、東京電力の株が2日取引停止になれば、黒字倒産するだろう。

ちょっと贅沢な国家破産という一連のシリーズは冗談が過ぎると思われた方も多いだろう。だが私にはアルゼンチンの国家破産は「黒字倒産」にしか見えないの だ。人生様々、国家破産も様々なのだった。