通販CMは何故、へらないのか?

今 日、偶然にTVの通販CMを立て続けに3本見た。私は前に書いたように、ここ20年ほどTVを所有したことがないので通りすがりで見たのだが、最初はカラ シ明太子通販のCMだった。やけに高い明太子だなと思った。その次も次の次も通販CMだった。その2番目のCMで「30年前のお値段です」という男性のナ レーションが入り「えー、急いで買わなきゃ」という女性の声が続いて入るという古典的CMを見た。

で、私は少し考え込んでしまった。前に 書いたように考えることが趣味であり日々の楽しみという因果な性格の持ち主なのだ(笑)。30年前の値段というと、1980年頃の値段か・・・ 確か、そ の前にオイル・ショックがありインフレ率がかなり高かったことは覚えているが、今の物価と照らしてどうなのかは全く覚えていない。私が記憶しているのはバ ブルが崩壊して数年後からデフレが始まり、物がどんどん安くなったという部分以降だ。つまり90年代後半以降なら今の物価と比べて安いか高いかの評価がで きる。ということはこのCMは私より一回り以上、上の世代をターゲットにしているらしい。それは所謂、団塊の世代のようだ。

ネット通販を 利用している人なら気がつくと思うがTV通販の商品は非常に高い。これは当たり前でTV通販では電話で問い合わせに応対するスタッフをそろえなければいけ ない以上、その人件費分・電話回線分は確実に高くなる。さらにカード決済とかからむと、もっと割高になる。つまりTV通販を利用している層は

1.ネット利用者ではない
2.60代後半以上の年配者である

こ とが容易に推測できる。それは同時に年金受給者とも重なる。今、TVのCMで通販が猛烈に多いらしいのだが、結局そうした業者はネット通販との比較におい て詐欺に近い商売をやっているのではないかと私は思うのだ。そうした関係で想い出すのは竿竹屋である。ウチの周りにくる竿竹屋も「30年前のお値段です」 といつも言っているのだが、何故そういう表現をしなければいけないのだろうか?竿竹1本千円と具体的な値段を出すだけだと何か不味い事情があるのかと私はいつも 疑問に思う。だが30年前と同じ値段なら買おうという層がいるから、そうしたキャッチが使われているのだろう。TV通販もそうだし竿竹屋もそうだが、結局 何らかの弱者層を食い物にしているようにしか私には思えない。

昔、「竿竹屋は何故つぶれないのか」という本がベストセラーになり私も立ち 読みしたが、何か違和感を覚えた。それは結局、竿竹屋の顧客は誰なのかがきちんと分析されてなかったからだと思う。竿竹屋が潰れない訳は無いので日々潰れ ているのだが、何故、竿竹屋は減らないのか、彼らはどういう層を顧客としているのか、彼ら顧客の収入源は何か、こういった本質的な部分に全くふれず会計や 簿記的発想ですましているところに私は大きな違和感を感じた。同時にそういう本が売れることにも何か寒気を感じたのだった。

私はTV業界は全く知らないのだが、新聞広告での類似例があてはまるなら、通販CMが増えているということはCM広告の単価がかなり下がっていることを意味すると思う。この部分は次のエッセーで説明したい。