金髪女の憂鬱

この サイトへのアクセスはDirect Requestが一番、多い。だが検索をしてたどりつかれる人もいる。その検索ワードのランキングを見ていたらトップが金髪女だった。それほど、すごい団 鬼六かダーティー松本まがいの文章を書いた記憶もなければ画像をアップした記憶もないのだが、現実にそうなっているのだから仕方ない。まあ、別に確固とし たサイト運営方針がある訳でもないので金髪女キャシーの続きを書いてみることにした。

この人に最初に会った時は「美人だな」と感心した が、それほど話をすることは無かった。キャシーが日本びいきになったのは確か盲腸の手術の後だった。最初、彼女はアメリカに帰ると言ったのだがみんなが説 得して日本で手術を受けさせた。そうするとアメリカよりはるかに迅速にはるかに安く盲腸の手術が終わってしまった。それ以来、この人は日本びいきになっ た。

元々、性格が素直な人なのでみんなの人気は高かった。ある月曜日の朝、キャシーに偶然出会った時、「竹本さん、昨日素晴らしい体験を しました」と話かけてきた。ほう、それは何かと私が聞くと、ある老女の葬式だった。何故、老女の葬式が素晴らしい体験なのかと私が聞くと彼女は背景を含め 説明をした。

この人は美人を鼻にかけない素直な性格の人だったために色んな人が個人英語教師になってくれと頼んでいた。その中に、家族全 員が英語のレッスンを受けるという裕福な家庭があった。この家とは「親戚づきあい」をしていた。この家族のなかに高齢のお婆ちゃんがいた。彼女は老衰のた めに90歳くらいで亡くなったのだが、呆れたことにキャシーは病室につめ、通夜に出て、葬式まで家族と一緒だったという。

で、キャシーは 「あの人(=老女)の死は私がこれまでに見た中で最もhappyな死だった」と言った。テロリストじゃあるまいしハッピーな死などないだろうと私が言う と、彼女は最後の様子を説明した。何しろ彼女は家族と一緒に最後を見守ったのだ。何の苦しみも見せない眠るような死だった言う。それは日本でいう大往生で あり、理想的な死に方ではあるが、それほど珍しいものでもなかった。だが彼女はこの老女の死にかたに大きく心を動かされたらしく、何回も素晴らしい死だっ たと繰り返した。

この人には固定ファンがついていたらしく、ある年のクリスマス・パーティーで出会った時はブルーのベルベット・ドレスで めかし込んでいた。私が「その素敵なドレスはsugar daddyからのプレゼントか?」と冗談を言うと、私の冗談があまりに露骨だったために彼女は一瞬、鼻白んだ後に「このドレスは私が英語を教えている生徒 がクリスマス用にプレゼントしてくれたの」と言った。ほう、この人は長身金髪美人+良い性格ということで随分人気あるんだなと私は感心したものだ。その 後、キャシーはアメリカに戻ってしまい、私は彼女が今どこで何をしているか全く知らない。

だがサブプライム・バブル破裂後のアメリカ経済 情勢を考えると、とても幸せな生活をしてるとは思えない。今、30代後半か・・・ 恐らく、結婚し子供が3人くらいおり住宅ローンを組んでいると思われ る。そういう人たちが今、アメリカでどういう暮らしをしているかの説明は省略するが。

私は勝手に思うのだがキャシーが一番幸せだったのは日本で英語の仕事をしていた時では無かったのだろうかと・・・・・・