組合は労働者を搾取する

私 が小さい頃、父は宇部興産の労組委員長をやっていた。ここの初代労組委員長が太田薫で、この人は総評議長をやり春闘を提案したりした。太田氏の何代後かは 知らないが私の父が労組委員長をやってた頃はまだ労働争議で流血は当たり前の時代だった。管直人のようなプロ市民運動家上がりとは次元の違う、日本の労働 運動の本流を生きた活動家なのだ。

この頃の労働運動は実際に意味があったと思う。何故なら日本経済が大きく成長していたから労働者の賃金 を上げることは消費の拡大につながり、それがさらに内需を喚起するという好循環を生んだからだ。だが今の労働運動、はっきり言ってしまえば、連合のやって ることはノーメンクラトゥーラ、赤い貴族達の特権を守ることでしかないような気がする。

最初にそう思ったのは皮肉なことに労働運動に最も 理解あるメディア、朝日新聞社で働いていた時だった。私がいた頃の朝日では組合活動はもはや罰ゲームでしかなく、当番制で「今年はキミの番だ。1年、我慢 してくれ」と説得されて嫌々、引き受ける「仕事」だった。それは組合費が高い割には労組運営が退屈で硬直化しており透明性に欠けていたからだ。

実 際、組合と対立して自発的に抜ける人もいた。だが会社側はあまり、それを歓迎しなかった。むしろ人事面でマイナス査定されるという噂があった。恐らく、朝 日新聞社としては労組と一括交渉することで全てを片づけたかったのだろう。同時にそれは、会社経営陣と労組幹部が馴れ合い状態にあったことを意味する。


朝 日新聞労組に対し不満を述べる人は私の周りにも相当いた。ある人は「どうして書記とか専従の連中の給与が我々と同じなのか?」と言った。これは当然で、新 聞社の勤務は非常に不規則であり、夜中の2−3時まで働くことに対し残業手当、深夜手当を出す代わりに一括打ち切りで月60−120時間分時間外賃金が支 給された。職場にもよるが、記者なら時間外打ち切り手当のほうが基本給よりはるかに高かった。ところが組合の書記はほぼ定時に出てきて、定時に帰ってい た。少なくとも私達、労働者側にはそう見えた。「なら基本給だけでいいだろ、組合費減らせよ」という不満はかなりあった。さらに書記とかの人事も組合の会 計も透明性が無かった。ある人は「ボーナス交渉の前とかに中庭に出てきてアコーディオンを弾いてインターナショナルとかを歌うだけでいいならオレは会社を 辞めて組合書記になる」とまで言った。

その当時の朝日新聞社の社員総数が約1万人、組合費は私の記憶が正しければ(?自信無し)2.5−3万円/ 月、ということは最低でも年間30億円の「収入」があったことになる。ところが組合がどういう活動をやってたのかさっぱりわからないのだ。私も罰ゲームで 1年、組合の仕事をやったが、やはり何もしてないように見えた。

問題は組合から抜けることに有形無形の圧力がかかる点にある。実質、抜け られないのだ。そうなると組合は一部労働貴族の優雅な生活を支えるために深夜勤などの不規則勤務を我慢する労働者を搾取する組織でしかない。それはまさに ロシアのノーメンクラトゥーラあるいは中国共産党幹部特権構造だ。

そうした赤い貴族は実は毎日のようにTVに現れている。例えば鳥越俊太 郎氏である。この人はBMWを複数所有し、ハイウェーを快適にドライブしながら、、派遣労働者の窮状に思いをはせるという、とても人間とは思えない「繊細な感 性の持ち主」だ。だが現実にそういう番組を見るバカ、いやその常識的判断力に不自由している方々がいるのだ。

なるほどノーメンクラトゥーラも中国共産党幹部特権も崩壊しないはずだ。そして今、赤い貴族達が支えているのが鳩山民主党なのだが、それもやはり見えない人には見えないのだろう。

次回は個人的体験をあげて日教組をこき下ろし呪詛をはく予定だ。請う、ご期待(笑)。