私が税務調査された時

90 年代、私は株式会社の代表取締役だった。資本金1000万円を積めば、株式会社が設立できるようになった。その制度を利用して翻訳会社を作ったのだ。資本 金は全て自分の預貯金を解約して作った。この会社は脱税とか違法な目的の会社ではなかった。設立初年度の売り上げが700万円以上あった。資本金の70% である。ほとんどが翻訳収入だった(一部、通訳収入があったかも知れない)。

すでに書いたが、1997年に翻訳での最大の取引先だったサ イマル・インターナショナルが和議申請し実質的に倒産し、また個人的に愛着を持つコンゴ(旧ザイール)での内戦が悪化し、私は鬱病になり翻訳の仕事ができ なくなった。だが翻訳収入が無くても法人税均等割という税金がかかる。4年後くらいに自主解散した。これは官報できちんと告知した。もちろん官報は数万円 のお金を払わないと公告を載せてくれない。

あれは翻訳会社をはじめて3年目だったと思う。国税による税務調査があった。朝の8時に電話が 入り「今から事務所を見せて頂きたい」というのでOKと答えると5分後には玄関のチャイムがなった。家のすぐそばから電話をかけていたのだ。名前は忘れた が山口税務署の法人課の人だった。別にやましい事は何もなかったので事務所に入れた。この人は部屋を見回し、幾つか質問をした。この事務所は私の録音スタ ジオもかねておりギター、ベース、コンガ、フルートなどが散在しており、正直外部の人を入れたくなかったのだが相手が国税ではどうすることもできない(事 務所が音楽スタジオを兼務していたことに何ら違法性は無い。何故なら、法人登記をする時に、会社の営業品目として翻訳、通訳、音楽制作などとハッキリ記載 していたからだ)。

話をし質問に答えているうちに、この人は私が事務所改修費として計上した70万円を問題視していることがわかった。この70万円は

1.2つの部屋の壁をぶち抜き大きな事務用の大部屋を作る
2.自分の座高にあった特注の長さ3mほどの巨大事務デスクの作成
3.冷暖房費を節約するために屋根裏にロックウールを断熱目的で置いた

こ の3つの用途に使用された。領収書もすべてあり、作業を依頼した工務店の名前や住所、電話番号もあげることができた。この国税調査官はなおも部屋の中を見 渡し、部屋の南側に寝袋がおいてあるのを見つけた。「ここで寝泊まりしてるんですか?」というので仕事の進捗状況によっては、ここで寝てると答えると「そ れは問題だな。だが毎日、寝てるのでないなら今回は問題にしないことにします」と答えた。約1時間近く、この人の相手をし私の側に何ら落ち度がないことが 確認され、国税調査官は部屋から出て行った。

この会社を解散して10年たつので書類を保存する義務は無いのだが、一応すべての書類や領収 書はミカン箱1つに入れて保存されている。サイマル相手に行った翻訳文書の印刷物A4を2つに切って、それを台紙にして領収書をはっていた。だから今でも このミカン箱をのぞくと当時やった翻訳の数々の記憶が蘇る。国税はわずか70万円の事務所改修費の使用用途を確認するために実質、抜き打ち税務調査を行う のだ。これを頭に入れて下の記事を読んでいただきたい。

引用

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009120902000226.html

実母の資金『贈与』判断なら 首相も納税意向
2009年12月9日 夕刊

  鳩山由紀夫首相は九日朝、実母からの資金提供問題で、弟の鳩山邦夫元総務相が事実を認めて贈与税を国庫に納入する意向を示したことについて「私も法に照ら して適正に処理したい。そのような判断になれば、そうなる」と述べ、資金提供が贈与とみなされれば、贈与税を納める考えを示した。

引用終わり

何 ですか、この他人事のような言いぐさは?一方ではわずか70万円の事務所改修費を確認するために抜き打ち調査を行う。他方では、死んだ人間から寄付を受け たように見せかけるなど明白に悪質な違法性がある数億円の案件で事情聴取すら行わない。これは憲法が保障する法の下の平等に明らかに反している。ハッキリ 言えば弱い者いじめだ。

繰り返すが私はわずか70万円の事務所改修費で国税の抜き打ち調査をされた。一方で数億円の贈与を脱税目的で処理 した鳩山が事情聴取すら受けない。鳩山がやった行為は誰がどう見ても脱税だ。もし検察や国税が事情聴取しないなら、私の事務所改修費70万円に対し行った 抜き打ち調査をどう正当化するんですか?ちなみに山口税務署の担当者の名前とか全て記録し残してあります。

確かにマスゴミにより洗脳された愚民たちが鳩山民主党を支持している。あるいは支持しているように見せかけている。だが、法律は法律でしょ?愚民どもが何を言おうと、国民の三大義務のひとつである納税で不正を働いた鳩山由紀夫は脱税で罰せられるべきだ。

再度、訊きたい。事務所改修費70万円で抜き打ち調査をすることと数億円の脱税を行った者に事情聴取を行わないことは法の下の平等に反する。検察および国税は、憲法が保障する法の下の平等をどう考えているのだろうか?