毎日が日曜版
(2009.12.18)

昨 日、読売新聞に関するエッセーを書いたので久しぶりに読売の朝刊(西部本社版)を真面目に読んでみた。正直、度肝を抜かれた。それも悪い意味で。何に私は 驚いたのか?それは靴の通信販売広告(多色刷り全国版全面広告)だった。以下、その理由を説明する。注意していただきたいが私が書くことは自分が新聞業界 にいた頃の経験から類推しているだけで「事実」であるという保証は全く無い。全て読む人がご自分の判断で決めていただきたい。

1.靴というのは普通、通販で買わない。何故ならサイズが合うか合わないか不明だからだ。
2.全面広告で売られていた靴の平均通販価格は5−8000円くらいだった
3.フルカラーの多色広告だった

こ の3つの点に驚いたのだ。まず1.だが、靴を通販で買う人がどれだけいるだろうか?私が住んでいるド田舎でも安い靴を売ってるお店はいくらでもあり、実際 にはいてみて買うことができる。一体、誰が通販で靴を買うのか?どういう層をターゲットにしているのかが全くわからないのだ。

これが竿竹 屋なら年金で生活している60歳以上の人を相手にしているのだろう、それなら原価によってはペイしないこともないという推測が可能だ。私には靴を通販で買 う人がどんな人か全く想像できない。いや昔も確かにこの手の広告はあった。それは日曜版のように暇な老人以外読まない別刷り用の広告だった。日曜版の場 合、どの新聞社もそうだと思うがもはやまともな広告を入れることをとうの昔にあきらめた。そうなのだ、靴の通販広告は日曜版で載るべき広告なのだ。それが 読売新聞本紙最初の全面広告、しかも多色フルカラーで出てきたから私は驚いたのだ。

2番目の点、これは考えれば考えるほど恐ろしい現実が 見えてくる。この全国版でどれだけの靴が売れるだろうか?私の予想は良くて1500−3000足程度である。この靴1つ売れば3000円の利益があると仮 定しよう。そうすると3000×3000=900万円の利益が通販業者に入る。この内、半分を広告費用に回していると仮定しよう。そうすると450万円で ある。間に広告会社が入っており広告制作費もまたタダではない。中間業者が40%を取っていると仮定する。そうすると読売新聞が全国版多色フルカラー全面 広告の対価として受け取るのは450×0.6=270万円である。これは全盛期の値段の1/10以下と推測する。こんな広告を入れて新聞社の経営が成り立 つ訳がない。

3.多色フルカラーというのは本来であれば倍の値段になる。全面広告1ページなら2ページ分の料金になる。ところで新聞社の 設備投資は週に1回は多色広告を入れるとかの過去の事例から想定して成されている。どうも今は設備の能力が余っているようだ。読売がこの通販広告で多色料 金を取っているかどうか私は知らない。だが取っていれば、そもそも通販広告が成り立たない、ペイしないと思われる。私が自分の経験から類推すれば、どうも 多色料金をサービスする(つまり無料)ことで広告を集めたようだ。何故なら、どうせ印刷のキャパが余っており多色にしても媒体側に損がないからだ。

繰り返すが上に書いた事はもう20年以上前に新聞業界から去ったものが自分の過去の経験から類推をしているだけであり、類推が正しいという主張は一切、していない。全て読む人の判断である。私には上記のように見えたというだけだ。

し かし数ヶ月前、麻生自民党政権の頃はこれほど広告の状況は悪くなかった。私は一部ネットユーザーのような麻生信者では無いが、事実は事実だ。そして日本を 取りまく外部環境に関して言えばドバイ・ショックがあった以外は大きな変化はおきていない。つまり民主党が政権を取ってから、どれだけ日本経済が落ち込み 広告費が削られたか、それが靴の通販フルカラー全面広告に反映されているように私には思えるのだ。ちなみに不況になると最初に削られるのが広告費だから、 広告は景気の先行指数と見ることもできる。

鳩山不況の凄まじい破壊力をようやく私も実感できた。正直、言うべき言葉が無い・・・・

補 足: 2ch辺りでは日経だけはまともな経営をしていると主張する日経信者がいる。だが日経の購読者の多くは法人だ。これは過去においては圧倒的な強み だった。だがそれは景気が悪化し法人が日経を切った時には千部単位で部数が減少することを意味する。つまり日経は紙面特性からまだ広告でそこそこの売り上 げを維持しているが部数が急激に落ちているのではないかと思う。これも私の推測であり信じるも自由、信じないのも自由である。