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寝ると何故、疲れるのか?
そ
う、寝るとかえって疲れることがある。私が最初にこの現象に気がついたのは高校生の時、桂米朝師匠のお伊勢参りの落語マクラの部分を聞いた時だった。冬、
寒いなかお伊勢参りに出かけた男衆、だが泊まっているのは安宿で、男二人でセンベイ布団にくるまっていた。寒いので一人の男が無意識に布団を自分のほうに
引っ張る。そうすると、もう一人の男が寒くなるので自分のほうに引っ張り返す。これを延々、繰り返しているうちに二人はヘトヘトに疲れてしまう。そして、
どちらともなく声をかける。「おい、起きてちょっと休もうや」、米朝師匠の落語では、ここでどっと笑いが起きたのだが、私は考え込んでしまった。何故なら
寝ている状態が一番、楽なはずなのだが、上の落語のマクラにあるように、寝ているうちに気分が悪くなり起きて体を動かしていると元気になるという体験を私
はそれまでに何回かしていたからだ。
こうしたネタを私はFood for
Thoughtと呼び、何故そういう現象が起きるのかを延々と考える。なにしろ考えること自体が楽しいのだから別に結論が出なくても一向に構わない。とこ
ろが数ヶ月前にやっと答えらしきものを見つけた。実に30数年かけて答えを見つけたのだ。何というか、あまりの変人ぶりに自分でも感心する(笑)。以下、
寝ると何故、疲れる場合があるのかを説明する。
まず条件がいくつかある
1.若いが体が非常に疲れている 2.あるいは老齢で寝返りを打つだけの体力がない 3.部屋の空気がほとんど動かない状態にある(当然、窓は閉まっている) 4.厚い布団をかぶっている
こ
の状態で寝ると、寝れば寝るほど疲れる。何故かというと、上の条件下に置いては自分の吐いた息をまた吸い込む。息をする度に肺で酸素が吸収されるために、
酸素濃度がどんどん薄くなる。若くて元気が良ければ寝返りを打てば良い。だが、体が極限まで疲れているか歳で寝返りを打つ体力が無い状態では、結果的に酸
素不足になり息苦しさから目が覚める。
くだらん、30数年考えての結論がそれかと言われるかも知れないが、個人的にはこの答えに満足して
いる。最初はペット用の小型扇風機をかけて、ある程度部屋の空気が動くようにして寝てみた。確かに寝るとかえって疲れる現象は激減した。私は深夜電力契約
しており冬、夜11時を過ぎるとエアコンを30度に設定するのだが、エアコンのノズルからはき出される熱風を普通の扇風機で部屋の反対側に飛ばして、エア
コンの空気があたらないようにし、なおかつ空気を緩やかに動かすようにするとさらに効果があるのがわかった。
実はこの答えは飛行機内や重病人が使用する酸素マスクの解説を読んで見つけた。酸素に致死量は無いが、濃度90%以上の酸素を24時間以上吸うと脳に恒久的なダメージを受けると言われる。ちなみに水の致死量は20リットルである。 (参考:2007年に水を飲みすぎて死亡したアメリカ人女性の話 http://www.msnbc.msn.com/id/16660273/)
酸
素マスクで100%濃度の酸素吸入を受けると体に悪いのではないかと思い調べているうちに、あるサイトが「酸素マスクのなかに100%濃度の酸素を入れて
も問題ない。何故なら息を吐き出す時にマスクの中にたまっている酸素を外に押し出すからだ。現実には酸素濃度は50%以上には上がらない」と解説している
のを読んだ。この吸気と呼気をセットで考えるという論理(阿吽の呼吸)の延長で、ある種の状況では自分が吐いた息をまた吸うために酸素濃度がどんどん落ち
ることにやっと気がついたのだ。
寝るとかえって疲れるという現象の答えは30数年間、考えないと見つからなかった。それは答えがあまりに
ありふれているためだった。私はずっとレム睡眠とか松果体とか成長ホルモンの分泌量という線で考えていたのだ。老人の場合は、成長ホルモンの分泌量減少も
影響しているのは確かだが。
しかし、これが30数年間考え続ける事柄だろうか?まあ、本人が楽しいんだから別に良いんじゃないんでしょうか(笑)。
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