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土木談合と広告募集
引用
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091231-OYT1T00825.htm
中
堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)の幹部らが2004年10月中旬、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の事務担当者で、小沢氏の私設
秘書だった石川知裕衆院議員(36)に5000万円を手渡したと東京地検特捜部に供述し、石川議員がその直後に、同額の現金を同会の銀行口座に入金してい
たことが、関係者の話で分かった。
引用終わり
水谷建設、ここは昔広告募集で行ったことがある。私は2年くらい広告営業と
して土木を担当していたからだ。土木というのは普通の広告と根本的に異なるスタイルで広告募集をする。また建設中のダムやトンネル現場にも出かける。ここ
らの広告に関連した土木業界の部分はあまり語られる事がないので簡単に説明してみよう。
私が広告営業として土木を担当していた頃、朝日新
聞は紙面で土木談合キャンペーンをやっていた。正直、このキャンペーンは納得できなかった。何故かというと、鹿島を始め多くの業者を廻ったが、別に彼らは
贅沢三昧をしている訳では無かった。むしろ慎ましやかな企業だった。確かに談合は良くないが、それは基本的に政治家が悪いのであり、土建業者はむしろ政治
家に食い物にされているような印象すらある。ただ、この業界は工事を発注する国(官僚)、政治家、土建業者が複雑にからんでおり、乱暴な印象論を言えば談
合や不正の責任は国(官僚)10%、政治家70%、土建業者20%くらいのような気がする。
例えば、岐阜にトンネルやダム、道路ができる
とする。自分の体験から言うとこうした大規模工事を発注し管轄しているのは中部地建(中部地方建設局)だった。中部地建はそうした新しいインフラができた
事をみんなに知ってもらいたいという潜在的な願望を持っている。一方で受注した業者は自分たちが請け負った工事の広告を新聞に出すことで地建への印象を良
くし「次の機会」を確保したいと思っている。この2つの主体の間で立ち回って、中部地建局長、朝日新聞論説委員、JVの幹事会社代表を集め、座談会形式で
工事の有意義さを広く告知するというのが私がてがけた土木広告でのパターンだった。
中部地建局長は業者が広告費用を出すなら対談に出ても
いいというスタンスだった。これは自分たちが発注した工事をアピールできるのだから当然である。土建業者は彼らの独自判断で広告を出した方が将来的にベ
ターであると判断すれば広告を出す。たまたま名古屋本社には土木を専門にする論説委員がいたが、この人にしてみれば自分がコーディネートした全面広告が出
るのだから記事でなくても当然、うれしい訳だ。そうした広告の仕事は本来の論説委員の仕事では無いために広告がギャラを払う。そう、紙面に出るだけでな
く、その分のギャラも広告が払ったのだ。何回か、某論説委員と一緒に仕事をし、そこそこ「美味しいギャラ」を支払った。味をしめたのか、時々広告のフロア
に遊びに来て自分で探してきた土木ネタをさし出し私に「これを特集しよう」と提案したこともある。論説委員にしては気安い人だったので一緒に仕事をする上
では楽だったが、ギャラを支払う側の広告営業にしてみれば「会社の仕事だろ、ただで引き受けろよ」とむかつく部分もあったのだ(笑)。
と
ころが中部地建や日本土木工業協会、関連JVの合意を取り付けただけでは広告は出ない。何故かというと工事をしている現地事務所の所長が大きな権限を持っ
ているからだ。要するに、中部地建から与えられた予算をやりくりして広告を出すべきかどうかは現場の責任者にしか判断できないからだ。という訳で長野や岐
阜のトンネル、ダム、橋梁の工事現場には何回も行った。別に行きたくはないが行かないと広告が出ない。時にはヘルメットを被って現場を一緒に廻ったりもし
た。
それで最初の土木談合に戻るのだが、私の考えでは工事入札に置いてマージン証明書を出させるのが良いんじゃないかと思う。広告での一
般的なマージンが15%であるように工事入札においても15%のマージン(この場合は利益)が出ることを証明する書類を出させるのだ。要するに工事受注に
おける過当競争があるから談合だの不正がおきるのであり、入札の段階で自分たちのマージン15%を書類で証明できない業者は入札から外すのだ。過当競争を
排除しない限り、土木談合も不正も永遠になくならないと私は考えるのだが・・・ お縄さんのケースは「特殊事情」があるようなので現時点ではコメントでき
ない。
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