クリントンとブッシュ
(この文章は2004年に書いた物に加筆しました)

ク リントン前アメリカ大統領の回顧録が朝日新聞社から出版され、2004年9月26日朝刊において朝日を始め各紙で書評が掲載された。この朝日に掲載された 松原隆一郎東大教授による書評があまりに馬鹿げているので東大教授はいかに馬鹿で論理的思考力がなくマスコミに媚びることしか頭にないかを晒し上げるため にこのエッセーを書く。

松原氏はクリントン大統領が黒人文化に深い理解を示したという。これは事実かも知れない。だがクリントン政権にお いて主要ポストが全て主流派白人によって占められていたのも事実だ。松原氏の主張は裏返せばブッシュは黒人文化あるいは黒人そのものに興味がないと読め る。しかし大統領補佐官、コンドリーサ・ライスは黒人女性ではないのか?それとも彼女は靴墨を塗りたくった白人なのか?国務長官コーリン・パウエルは日焼 けが過ぎて髪の毛が縮れた白人なのか?とんでもない話で、ライスもパウエルも黒人だ。名前からするとライスはラティーナかも知れない。パウエルはジャマイ カ移民の子だ。なるほどクリントンはサックスを吹いた、しかし現実には重要な閣僚に黒人を指名しなかった。それは黒人軽視である。ブッシュは間抜けかもし れないが頭の良いライス補佐官を指南役にした。そしてライス補佐官は黒人女性なのだ。皮膚が黒いのがわからないのか?それとも松原氏はいまだに白黒TVを 見ているのか?

松原氏は全く本質を見ていないだけでなく論理のすり替えを行っている。サックスを吹く=黒人文化であるジャズを理解してい る=黒人を尊重している、見事な論理のすり替えである。サックスなんて吹けなくても良い、重要なのは実際にどれだけ黒人を登用するかだ。ブッシュは自分が 間抜けなことがわかっているから黒人女性であるライスのアドバイスに耳を傾けている。「頭の良い人」とは自分の限界を知り能力のある人の意見を取り入れる 人ではないのか?さらに国際性という点に関して言えばブッシュはメキシコ大統領とスペイン語で会話できる程度の能力は持っている。クリントンがスペイン語 やポルトガル語で会話したことが一度でもあっただろうか?

松原氏は書評の最後にクリントンは不倫の中で大統領職務をまっとうしたタフな大統領、ブッシュは単純とまで書かれているがタフという英単語の意味を知らないのではないか?小学館ランダムハウス英和からタフの意味を引用する。

1.物が丈夫である
2.食物が容易にかめない
3.液状物質が粘りけがある
4.たくましい、困苦に耐えられる
5.断固とした、一徹な、強情な
6.仕事・問題・生活が困難、難しい
7.争いが激しい
8.人が乱暴な、無法な
9.言動が信じがたい、ひどい
10.現実的な、非常な
11.(俗語)素晴らしい、いかす
12.法律・規則が強硬な、厳しい

恐 らく松原氏は不倫スキャンダルという困苦をよく耐えたと言われたいのだろうが、不倫スキャンダルはクリントン前大統領が自ら引き起こした不祥事である。自 分がおこしたトラブルに耐えるのは当たり前ではないだろうか?繰り返すが、クリントン氏に自制心があればつまり精神的にたくましければ、あのような不倫ス キャンダルは最初から起きなかった。耐えて大統領職務をまっとうするのは当り前である。最初から自制心で「淫らな欲望」を克服する方がはるかに「偉大な行 為」ではないだろうか?一方でブッシュは馬鹿で単純かも知れないがそうしたスキャンダルとは無縁だ。松原氏は英語が出来ないだけでなく論理的思考も苦手な のだろうか?

出版元である朝日新聞社はずっと上野千鶴子東大教授を始めとしたフェミニズトを賞賛し、ちびくろサンボの差別性を指摘するな どアメリカ黒人の地位向上に「心を砕いて」きた。一方、宇野宗佑前首相の芸者スキャンダル追求の先鋒も朝日だった。ここには明確な二重基準がある。クリン トン氏の公務時間中のスキャンダルは問題ないのに日本の首相がプライベートな時間にプライベートな場所でお金を払って性欲を処理することは辞任に値する問 題なのか?ブッシュが黒人女性であるライスを補佐官に登用したことを何故フェミニズム/反人種差別の観点から評価しないのか?何故、ライス補佐官の意見に 耳を傾けアフガニスタン、イラクと戦争を続けるブッシュのみ叩きライスを叩かないのか?

ブッシュの戦争での松原氏の書評と同じレベルで出版元である朝日新聞社の言動は噴飯ものである。