検察のリークのどこが問題か?

日本には捜査権 を持つ組織が2つある。警察と検察である。警察には警察記者クラブがあり、ここから捜査情報が日常的にリークされている。見方を変えれば、日常的に国民の 知る権利に答えている。一方で、司法記者クラブというのがある。これは一応、検察もカバーしているがメインは裁判所だと私は理解している。つまり特捜部を 対象にした記者クラブは無いと思う。大体、機密性の高い組織はうかつに入れないように作られている。例えば公安は警察の中にあるが、警察建物の奥の扉を いったん閉じて3mほど何もない廊下を歩き、次の扉を開けると、そこは雪国だった。夜の底が白かった。いやいや、そうではなく扉の向こうは公安とか特捜な のだ。

2ch辺りでは、今、特捜部が行っている捜査情報リークが公務員の守秘義務に反すると騒いでいる人が居る。だが、それを言い出せば 警察のやってることは何なのだ?押尾やノリP騒動がある度に、TV局を始めとした芸能マスゴミが現場に押しかける。これは3つの点で問題だと思う:

1.周辺住民に迷惑がかかる(実際、迷惑でしかないと思う)
2.捜査活動の障害になる(例えば、押尾は横浜近辺に隠れていると言えば、当然それに関する何らかの証拠隠滅が行われるだろう)
3.法律上、人の命の重さは平等なはずだ(法の下の平等)。だが現実には警察が捜査情報をリークするために法理よりスキャンダル性が脚光を浴びるケースが多くある。それは司法判断を歪めるかも知れない

一方で特捜部のリークとは何だろう?

1.彼らは基本的にメディアと直接、接する事はないと思う
2.だが、メディアを敵に回すのも馬鹿らしいので、おつきあい程度の関係はある
3.(推測に過ぎないが)彼らのリークは婉曲的になされる

例 えば、夜の12時頃、検察記者クラブに誰かは残っている。すでに朝刊には間に合わない時間帯だが。大体、新聞社もそうだが検察も恐らく夜の商売だと思う。 この夜の商売というのは色っぽいオネーチャンが出回るという意味でなく、深夜勤務者が多いという意味だ。検察はどうか知らないが新聞社は夜の商売に分類さ れている。誰が分類しているか?自治体や警察である。そうした夜の商売をするところ周囲には朝3時頃まで営業する一杯飲み屋が必ずある。朝日新聞名古屋本 社で言えば「よっちゃんの店」がそうだった。正式な名前は知らないが、深夜3時頃このお店に行くと、記者や広告やらがカウンターにゴロゴロしていた。

で、 検察のリークというのはA検察官がたまたま深夜、記者クラブに残っている共同通信の山本記者に「ヤマちゃん、一杯ひっかけにいこうか」と誘うところから始 まるのではないかと思う。そうすると共同通信記者山本には「あ、特捜が何か情報をくれるんだな」とわかる。この時点から携帯は本社にかけたままになる。 で、検察版「よっちゃんの店」に行き、次のような会話をする:

「最近、鳩とか鷺とか色々、うるさいな」(A検察官)
「鳩山総理の件で何か、進展があったんですか?」(共同記者ヤマちゃん)
「あんまり鳩がうるさいから撃とうと思ったら、上のほうから今回はワッパはかけるなと言ってるんだな」(A検察官)
「それは鳩山逮捕は無いということですか?」(共同記者ヤマちゃん)
「いや、鳩は自由にしばらく空を飛ばせるというのが上の考えらしいんだな」(A検察官)
「ということは起訴しないということですか?」(共同記者ヤマちゃん)
「何も決まった事は無いし、オレのようなペーペーに上の考えはわからんが、そういう寒い風の噂が吹いてるみたいだ」(A検察官)
「鳩山不起訴、確定ですね」(共同記者ヤマちゃん)
「オレには断定できないがエライさん達は、何かそういう方向で落としどころを探してるような気がする。あくまでオレの感想だが」(A検察官)

こ れを携帯経由で聞いていた共同通信本社の社会部長あたりが、この会話から「検察は鳩山由紀夫、不起訴の方針を固めた」という風に「翻訳」し、記事として配 信する。そういうのが検察のリークでは無いかと思うのだ。ちなみに、上の会話は大きな事件がおきた際に自分が社会部記者と交わした会話から推測・想定して いる。

つまり検察、特に特捜部は厳密な意味での「リーク」すらしてないのではないかと思う。2chでの意見とは正反対になるが、私の考え では警察が捜査情報をリークしすぎている事のほうがはるかに問題だと思う。何故、押尾やノリPの「現場」にTV局クルーやカメラマンが警察より先に陣取っ ているのか?何故、こちらの捜査情報過剰リークは誰も問題にしないのだろうか?