理論的裁定とは何か?

2009年は ちっとも儲からなかった。最大の理由はオプションの新しい「独自戦略」を思いつくたびに身銭でポジを作り、有効かどうか検証したからだ。根本的な考え方 は、日経平均の変動に関係なく「上がっても下がっても動かなくても利益の出るポジション構築」である。ところが、そうしたポジは当然ながら非常に複雑な複 合ポジになり、管理できなかったのだ。何のことはない、出来たのは「上がっても下がっても動かなくても損の出るポジション」だったという落ちである (笑)。

さすがに反省して、今年はガンマ・ニュートラル+デルタ・ニュートラルなポジに絞ろうと考え、さっそく1月8日(金曜日)にポジを作った。

全体のギリシャ文字

Δ:0.03
γ:0.0003
θ:−1.16

デ ルタが0.03はニュートラル(中立)と見なしていいだろう。肝心のガンマがゼロになってないが、これはポジが2つのオプ売りと2つのオプ買いと1つの先 物ポジで出来ているため、20分かけて作っているうちにガンマが動いてしまったのだ。ちなみに作り始めた時のガンマは完璧にゼロだった。ベガ・ヘッジがさ れてないが、実はこのポジは期近の売りと期先の「買い」(?)でできてるので、期近と期先のIVが連動していれば問題はおきないはずだ。元々、大きなベガ ではないし、ここは無視することにした。

ここまで読んで気がつかれた方もいると思うが、何をしようとしてるかというとブラック・ショール ズ式に基づく理論的な裁定取引である。シータが−1.16なので時が経つほど儲かるはずだ。ただブラック・ショールズ式に基づく裁定ということはBS式が 成り立たない状態では損が出る可能性が残ることを意味する。

これは実験だが、非常に大きな可能性を秘めた実験なので2月SQまで延々、日 々のデータを集めてみようと思う。予想収益は20万円程度であり、すでにこれは手に入ったと考えx64のウインドウズ・マシンを注文してしまった。やはり 音楽をやってると、広いメモリ空間が欲しいのだ。

という訳で1ヶ月後に20万円の収益が出るかどうかはBS式がどの程度、有効かにかかっ ている。ちなみにブラック・ショールズ式の考案者の一人、マイロン・ショールズはLTCMというファンドを立ち上げ、見事に失敗した。人類の歴史に残るレ ベルの失敗である。多いに不安は残るのだが、成功した場合に開けてくる可能性が膨大であるために、またもや「究極のオプション戦略」に挑むことになった。 これまでの「上がっても下がっても動かなくても損の出るポジション」とは理論的な裏付けがある分、違いがあるはずだが・・・・・

追記: 上の+0.0003ガンマだが今(2010.01.12)確認したらゼロ、つまり・ガンマ・ニュートラルに成っていた。夕場のギリシャ文字はあてにならない事がとりあえずわかった(笑)。