日本国債を巡る色々な問題とメディア

私は国家破産論者が嫌いだが別に国債を刷りまくれ的な主張をしたことは一度もない。大体、私は経済学徒ではない。経済と金融に興味がある素人だ。だから国債を今、刷りまくるべきかと公式に訊かれたら「わからない」と答えるだろう。

も し経済政策として完璧に正しくても国民が理解するとは限らない。日本がGDP比で巨大な政府債務を抱えているように「見える」のは事実だし、国民が不安を 抱くのも当然だからだ。そして日本は民主主義国家である以上、正しい政策をやっても国民が反対すれば、その政権は潰れる。2009年8月の衆議院選挙を思 い出してほしい。今ならみんなもわかるだろうが麻生自民党は極めてまともな政党だったが、国民が選んだのは民主党である。今でも鳩山民主党を支持する人が いるのだ。何と言うかカルト信者は恐いなと思う。

つまり政策が正しいかどうか経済学的に正しいかは今のところ意味がないのだ。何故なら、 どれほど正しくても国民が理解しないからだ。何故、国民が理解しないのか?それはハッキリ言えばメディア、特にTVが洗脳工作ばかりしているからだ。従っ てメディアが変わらない限り、政策論争など意味がないとすら私は思う。鳩山の次にマトモな政権ができてもまた「ホッケを煮付けで食べる」というだけで否定 されてしまう。

現時点では日銀が国債をもっと買い取ってデフレからインフレにする政策をゆっくり慎重に進めるくらいしかできないだろう。オマエは財務省の手先かとののしられても現状、国民が「洗脳」されて正常な判断力を失っているのだから、どうすることもできない。

私 が国家破産論者を嫌っているのは、それが国家破産ビジネスという極めて悪質なビジネスになっていることが元広告営業としてわかるからだ。1980年代の朝 日新聞は日本最強の広告媒体だった。私がそこで10年間、広告営業をやったのは事実であり、この視点なら自信を持って主張できる。バブル崩壊後の広告落ち 込みがもたらした経営悪化のなかでメディアは悪魔に魂を売った。

国家破産ビジネスとは何か?例えば、新聞に書籍広告を出す。書籍広告は表 現の自由が勘案されるために、通常の広告では許されないレベルの内容でも掲載されてしまう。だが書籍広告というのはただの国家破産論信者をリクルートする ための撒きえでしかない。書籍で不安を煽るだけ煽っておいてセミナーとか講演会を開く。そこで聴衆を自分たちの商品に誘導する。例えば日本国債は必ず紙く ずになるから当社が厳選した優良英国企業の社債を買いなさい(そこのあなた、笑ってはいけない。これは本当の話なのだ)。あるいは日本は未来が無いから中 国株に投資しろ(そこのあなた、笑ってはいけない。これは本当の話なのだ)。あるいは日本円は安くなるばかりだからアイスランドやNZのような高金利で安 全な国の通貨を買え(そこのあなた、笑ってはいけない。これは本当の話なのだ)。あるいは日本企業はダメだから当社が設定した海外IT企業投信を買え(そ このあなた、笑ってはいけない。これは本当の話なのだ)。無限に上げることができる。これらは全てただのビジネス、それも相当に悪質な詐欺に近いものだっ たことは今なら多くの人が同意してくれるだろう。

私がずっと非難していたのはビジネスとしての国家破産論である。そしてマスゴミの堕落し たモラルだ。勘違いをしてはいけない。エコノミストでもないのに何故、私が経済政策の提言をしなければいけないのか?その能力がないことくらい100%承 知している。逆に言えば、国家破産を断言する人たちは間違っていた時には「それなりの責任」を取るんだろう、いや取らないなら日本は法治国家でないとすら 思う。検察や警察は一体、何を見ているのか?

経済学は基本的に人々が経済的合理性に基づいて行動することを前提にしている。カルト信者をメンタル・コントロールから解き放つのは経済学の仕事ではないと私は考える。