アイコニックは電気羊の夢を見るか?

アイコ ニックという歌手が2chで悪い意味で「話題」になっている。ひどい人はウンコニックとまで呼んでいる。しかし、それほどヒドイ音楽では無いだろう、コン ゴ音楽ファンである私がひとつ公平な耳で聞いてみようと考え数曲聞いた。驚いたことにほめる事ができる部分が全く無い。

まず音圧が高すぎ て耳が痛くなる。恐らくWaves辺りの高価な帯域別EQとかコンプを使って限界まで音圧を上げているのだろう。さらにハーモニック・エキサイターか何か で倍音を出しているのか高音域がギラギラしている。とてもでは無いが耳がもたない。私は死ぬまで音楽を楽しみたいので、この音圧だけでもアイコニックを聞 かない。

さらにボーカルが不自然だ。ボーカルはかなり、ふらつきや音量ムラがあり、明らかに歌手としては2流と私は感じた。ボサノバ歌手 も下手糞だし、それは別にいいのだが歌の音程を強く補正しているために、音程だけを聞いていると非常にうまい歌手のように聞こえる。autotuneかメ ロダインを使って補正しているのだと思うが極めて不自然だ。歌にふらつきがあるなら当然、音程も少しは外れるべきだ。つまり「整形手術」が行き過ぎてい る。あまり書くと深夜/早朝に嫌がらせ電話が入りそうなので、ここらで止めておこう(笑)。いずれにせよコンゴ音楽ファンのたわごとなので気にしないでほ しい。私はJポップの理解者ではない。

だが、この手の音楽は大昔、聴いたことがある・・・ そこで思い出したのがザップ/ロジャー・トラ ウトマンである。80年代初頭に出た彼らのアルバムに入っている"Dance Floor"という曲は1000回は聴いただろう。実際、今聴いても全く色あせない魅力を放っている。

ロジャーは本当に良いミュージシャンで音楽ビジネスにおける人格者でもあり、JBの後継者はロジャーだと私は考えていた。だが「不幸な事件」により死んでしまった。その事件を話すと感傷的になるので止めよう。

ロ ジャーはトーク・ボックスというエフェクトを使った。これはキーボードの音をチューブを通して口の中に入れて、そこで自分の歌声を反映させるというユニー クなエフェクトだ。実際、YouTubeにはチューブをくわえたロジャーの映像がゴロゴロしているのだが、生のステージはものすごかったらしい。

何 故ならチューブを加え、キーボードを弾き、歌を歌うというのは明らかに無理があり、口のはしから涎(よだれ)がポタポタ落ちてフロアに水溜りを作った(と BMRに書いてた人がいた)。今、ライブ版"Dance Floor"を聴いたのだが明らかにベース・ラインが間違ってるのもおかしい。昔は全く気にならなかったのだが自分が小難しいコードを多用した曲を書くよ うになってからYouTubeに上がってる曲を聴いては「せっかく歌がうまいのにコードのつけかたが間違ってる」とかつまらないところが気になりだした。 涎(よだれ)にかんしては現在、ジャズ・ギタリストのトップ層にいるジョン・スコフィールドのライブを見た人も、ソロがのってくると音楽に没頭してしま い、口の端から涎がたれてたそうなので、特にロジャーが異常と言う訳ではない。

しかし、2010年の日本で制作・消費される音楽が1980年代初頭のアメリカ音楽に及ばないというのも悲しい話だ。個人的好みと感想を言ってるだけとしても・・・・

補足

音 楽を制作する側で無い人には何故、音圧を上げるのか理解できないと思う。そこで解説すると、人間の耳は全く同じ音の場合、大きい音のほうを良い音と捕らえ る傾向がある。私が昔、聞いた話では意地悪な音楽エンジニアはスタジオに来てウンチクをたれる人にAとBという2つの同一曲のミックスを聴かせて「どっち が良いミックスか?」と訊いたそうだ。実はAとBは全く同じミックスなのだがBは音圧が0.5dB上げてある。そしてオーディオマニアのほとんどがBのほ うが良いミックスと答えるそうだ。ちなみに人間が聴き取ることのできる最低の音量差が1デシベルだから、0.5dBの差を聞き取れるのは確かに耳がいいの かも知れないが、それはミックスの良さとは関係ない。