日本最大の詭弁

とりあえず昨日、三橋貴明氏のブログで私が書いたコメントを引用。

100 ■詭弁にご注意

詭弁の代表的なテクニックに例え話を出すというものがあります。まともに議論しようと考える人は相手にするべきではありません。何故なら「例え」とは

A=BだからC=Dであると主張することです。この場合、A=C、B=Dの関係が成り立っているかを検証する必要があります。もしC=Dを主張したいなら、その論拠を出せばいいのです。

政治家のように国民に広くアピールしなければいけない人たちを除いて、例えを議論で持ち出す人は詭弁を使って正面からの議論を避けていると考えるべきでしょう。

誰が詭弁を使ってるかの指摘はしませんが(笑)。

竹本秀之 2010-04-07 23:41:59

引用終わり

私 が最初に詭弁に気がついたのは中学1年か2年の頃だった。たまたま、つけていたTV討論番組で左翼過激派と野末陳平が議論をしていた。テーマは日米安保条 約だったと思う。この討論の中で野末陳平は学生運動家が用いた「真摯な態度」という言葉尻をとらえた。「キミは今、真摯な態度と言ったけど漢字書けるか い?書いて見ろ」と挑発したのだ。

脳がパープリンな学生運動家が性交、いや生硬な表現を使ったのを陳平氏は見逃さなかった。それはそれで TV討論と言うマスゴミ芸者狂い咲きの場ではアリなのかも知れないが、私は陳平氏に大きな違和感を持った。漢字が書けるかどうかは安保条約と何ら関係ない だろう、大体、相手の学生が黒板にスラスラと漢字を書いたら陳平氏はどう言い訳をするつもりなのか?

正直言うと私もこの手の表現で煙に巻 くのが得意だ。サラリーマン時代は「覆水、盆に帰らず。狂瀾(きょうらん)を既倒(きとう)に廻(めぐ)らすがごとし」などと難しい表現を多用したのだ が、まったく同僚から信用されてないために「キミの場合は違うキトウが狂乱するんだろう」などと茶化された。狂瀾(きょうらん)を既倒(きとう)に廻(め ぐ)らすというのは大波が崩れていくが、それは決して元に戻らないという意味で、私は柴田錬三郎の小説を読んで、この手の表現を覚えた。

こ ういう風に主題と関係ない論点ずらしをするのも詭弁のテクニックの1つだ。そう言えば、昨年、ホッケをオレンジソース煮にして赤ワインとともに食べるとい うだけでマスゴミから叩かれた人がいた。マスゴミ的には白身の魚だからホワイトソースをかけ白ワインを飲むのが正しい政治家マナーらしい。こういう風に言 えば野末陳平氏の主張がいかに馬鹿げているかわかるだろう。ホッケをどういう風に食べるかは政治家の資質と全く関係ないのだ。

上のは正確 には論点そらしというディベート技術だ。本当の詭弁でよく用いられるのは最初に出したような例え話である。昔の新聞には「握手した毛沢東国家主席の手は大 きく温かかった」のような記事が多かった。毛沢東の代わりにカストロ議長でも良いのだが、彼らの詭弁を使った論理展開はこうだ。

1.毛沢東の手は大きく温かかった
     ↓
2.毛沢東は人情味のある大人(たいじん)である(ように見える)
      ↓
3.中国は広大な素晴らしい国だ(と私たちは考える)

じゃあ何か、冷え性の人は全て冷血漢かと思わずつっこみたくなる。こうした詭弁のパターンは決まっているから一回覚えると次回からすぐに見抜くことができる。皆さんもぜひ詭弁の勉強をすべきだ。

と ころで現在、日本最大の詭弁は日本の政府債務を家計の借金に例え、子供一人頭700-1000万にも達しましたと主張する「財政健全論」である。財政健全 論自体は詭弁ではなく1つの考えだ。だが国の借金を家計の借金になぞらえ、子供一人頭いくらと主張するのは詭弁だ。もう1回、最初の書いた私のコメントを 引用しよう。

「何故なら「例え」とは

A=BだからC=Dであると主張することです。この場合、A=C、B=Dの関係が成り立っているかを検証する必要があります。もしC=Dを主張したいなら、その論拠を出せばいいのです」

こ こではA=Bは借金の多い家計は不幸になるという一般論だ。これはほぼ正しい。そして財政健全論者は大きな政府債務は国民を不幸にすると主張する。これは 正しいかどうか不明だ。問題は借金の多い家計が不幸になるように借金の多い政府も不幸になるという部分だ。A=Bは確かに成り立っている。C=Dが成り 立っているかは議論の余地が大いにある。さらにA≒Cかは誰にもわからない。A≒Cというのは国というのは家計を大きくしたようなものだという例えであ る。

とりあえず疑問に思うのは国は死んだら相続税を払うのか?墓地はどこか?葬式は仏教か神道か?消費税は何%払っているのか?どこに対 して払っているのか?国は肉と魚、どっちが好きか?国の稼いだお金はどこの銀行に預けているのか?利子は何%か?国における旦那とは誰か?奥さんとは誰 か?いつ結婚したのか?離婚歴は無いのか?などである。

誰がどう考えても国≠家計である。だが財務省とマスゴミは強引に国≒家計と見なし国民の不安を煽っている。こういう指摘をすると財務省の官僚たちは

「聡明な竹本さんならご理解いただけると思いますが、私たちは広く国民に日本の財政問題を知ってもらいたいと思い、平易な例えをだしてる訳です。こういう表現をしないと国民の皆様にご理解いただけないでしょう?」などと反論するのだろう。

だ が、誰がどう考えても国≠家計である。もし財務省が真剣に国民の意識を高めたいと思うなら、まず記者クラブに毎日、来ている経済部記者連中の意識を高め、 日本国債の本当の実態に関する理解を深める記事を書いてもらうように依頼すべきだ。例えばゆうちょ銀行は大量の日本国債を保有しているが、長期国債先物市 場を使ってリスク・ヘッジをしていることもその1つだ。

野末陳平のような「電波芸者」なら話は別だが、財務省が詭弁を使うのは卑怯だと私は考える。