ネイティブ、恐るべし

私は英会話はヘタクソで ある。何しろRとLの区別ができない。だがアメリカ人と話をしていて、過去どのような話題を振られても議論が成り立った。まず私はRとLの区別ができない ことが恥ずかしいとは全く思ってない。論理の展開さえ正しければ、こちらの知性(知性があればの話だがw)は伝わるだろうと考えていたからだ。

だ がアメリカ人にしてみると、どのような話題を振られても英語で自己主張ができる者がRとLの区別ができないというのは信じ難いらしく「オマエは何故、発音 練習をしない?」と何回も訊かれた。それは才能の無さに加え、最初からRとLを区別しようという気が無いからだ。全部、日本語のラ行で発音したほうが楽 だ。発音に気を使わない分のCPU(i386相当)余力をフレージングに回すことができる。これは今でもそう考えている。

という訳で同時通訳者のようにネイティブの感覚を持っている人に対し私は何も感じない。自分とは「違う路線を行く名人」として敬意は払うが。ところがネイティブの人の感覚というのは、やはりスゴイなと感じることもあった。そのエピソードについて書いてみよう。

そ の時は確かcoloredという英語表現について議論していた。coloredに日本人は基本的に含まれない。何故なら、この表現はアフリカ系という意味 だからだ。では日本語の有色人種という言葉は英語で何と言うかという議論になった。私は「アジア人&アフリカ人でいいんじゃないですか?」と言った。そう すると同時通訳者の一人が「もっと簡単にnon-whitesで良いでしょう」と指摘した。

これは何と言うか、目から鱗が4枚くらい落ちる指摘だった。それまで私は白人に対する有色人種という概念あるいは単語が存在すると考えていたのだ。だが、このDさんという同時通訳者は有色人種=非白人でしかないという本質をサラッと指摘したのだ。

こ うしたネイティブ感覚がさらに進むとアルファベットの好き嫌いの話になる。彼らに言わせると、アルファベットそのものに好感度があるというのだ。一番、好 感度が高いのはBで一番低い、つまり嫌われているのはNだという。言われて見ればbetterとかbestとかみんなBから始まる。Nから始まる単語には ヌルポ(null point)のように何か虚無あるいは死あるいは呪術を連想させるものが多い。

ただbのような破裂音は大きく響くがn は普通に発音しても小さく聞こえる。そうした音量の差が好感度に影響している可能性もある。これは歌においては音量差として現れる。それを強く響く単語で は顔をマイクからとおざけ弱く響く部分では近づけるという歌唱法というかマイク・テクニックを使い克服する。最初に確立したのはジャズ歌手のヘレン・メリ ルと言われている。音楽面から好感度を解釈することも可能だ。

英語で昔はnegroと言われた人たちがブラック(black)と呼称が変わり、さらに今はアフリカン・アメリカン(african american)になった。それは意外と我々には理解できないアルファベットの好感度を反映しているのかも知れない。

ネイティブ、恐るべし(笑)。