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利益を生む両建て (下の主張には誤解があるかも知れません)
2ch
の市況板を覗いていると、しょっちゅう両建て論争がおきる。一般論で言えば、両建ては意味が無いと主張するのは「プロ」で、意味があると主張するのは「ア
マ」だ。市況板には元証券会社のディーラーもいる。彼らに言わせると証券端末には、そもそも新規か返済かの区別すらないのだという。もし両建てになってい
る買い/売りポジが将来、必要になると思うなら、その時にポジを作るべきだと「プロ」は主張する。
これは株式や先物ではその通りだがオプ
ションでは成り立たないと私は考える。つまり両建てが明確に意味を持つ。実際に市況板でそういう主張を書き込んだこともあるのだが(笑)、市況板は買い
豚、売り豚と罵り合う不毛な場所で、十分説明しきれなかったので改めてオプションでの両建ては非常に有効な手段であることを証明してみよう。
ま
ずオプションを使い合成先物の買いを作る。そして、同じくオプションを使い合成先物の売りを作る。これを、酒大匙いっぱい、ミリン小さじで少し。ショウガ
をすりこんでトレーに入れてヒタヒタの状態で開いたアジをいれ、約1時間ほど寝かせた後、天ぷら粉をつけ、から揚げにします。これをいったんさましてか
ら、甘酢につけこむと美味しいオプションの南蛮漬けができあがります。
いかん、いかん、晩御飯のことを考えていたら文章がおかしくなった。ここで作ろうとしているのはオプションの南蛮漬けではなく、合成先物を利用した時間差両建てによる「美味しい利益」の出し方である。どっちも美味しいから良いようなものだが(笑)。
ごちゃごちゃ言わずに具体的なポジを書いてみよう(←見てください、この太っ腹。普通なら隠すような手法を平然と書いています)。
プットコールパリティーが成り立っていると仮定。データは数日前の実在データ。
5C@110 180円 1枚売り 5P@110 200円 1枚買い
これで合成先物の売りができた。これは絶対、から揚げにしないように(笑)。
対して合成先物の買いを作る。
6C@110 305円 1枚買い 6P@110 320円 1枚売り
これで5限月の先物売りと6限月の先物買いができた。で、この2つを甘酢に漬け込む代わりに、ひたすら放置するのである。OTMやITMになると話がややこしいのでATM補正をかけて考える。
5月ものがSQをATMで向かえた場合、売りも買いも無価値になる。
+180-200=-20
つ
まり2万円の損が出る。対して期先(この場合は6限月)の合成先物買いはどうなっているか?当然ながら売りも買いも時間的価値を失っている。だがプット
コールパリティーが成り立っているならCall価格-Put価格は同じのはずだ。ここでは12万円分の時間的価値を失ったと仮定しよう。そうすると
6C@110 305円 → 185円=12万円の損 6P@110 320円 → 200円=12万円の利益
となる。となると全体で2万円損をすることになる。だが実際にオプションを売買している人ならわかると思うが最終売買日でも一般にATMのPut価格はATMのCall価格より高い。私の印象を言えば
最終取引日のATMでのCall価格:7-8万 最終取引日のATMでのPut価格:10-12万
と
りあえずCallは8万、Putは11万と仮定しよう。そうするとこのポジは1万の利益を生み出すことになる。現在、オプションの刻みが荒いためにこの1
万の利益はスリッページを考えればあわない。だが、時間差合成先物両建てが利益を生み出すメカニズムは理解いただけたと思う。何故、最終取引日において
CallよりPutの値段が高い(=IVが高い)のかは不明だが、私が考えるところ、次の日に千円上げる理由は乏しいが千円下げる理由はいくつかありうる
からだと思う(戦争、地震、テロなど)。
この手法は
Sheldon Natenbergの本ではJelly Rollとして紹介されている。基本的には、先物における限月間スプレッドと同じ考えだ。なら金
利も配当も変わらない5月ものと6月ものの間で作っても利益が出ないようだが、現実にはわずかな利益が出る。ここが不思議なところだ。なお、どうやって
ATM補正をするかは各自、自分の頭で考えていただきたい。正直、ここが一番難しい。
だが、この手法の本当の面白さは、時間差合成先物の
両建てではなく、Callのカレンダー・スプレッドをPutのリバース・カレンダーでヘッジしたと考えるところにあると私は考える。そう考えると、はるか
に大きな利益が期待できるような気がしないでもない。だが私は何ら保証はしない。あなたが上の手法を使って損を出しても全て自己責任である。だが儲けても
別に手数料をよこせとは言わないので安心してください(笑)。
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