遂に朝日・読売をこえた東京スポーツ

最近、2chでは朝日や読売といった全国紙をこえたとまで評価される東スポこと東京スポーツだが、あまり東スポの記事を盲進するのも危険だなと思っていたら、ちょうど面白いtweetを見つけた。代表戸締役こと渡邉哲也氏によるものだ。

引用

湾岸戦争が始まった時、バクダッド炎上という大見出しで、血だらけの男の写真が、、、つい東スポを買ってしまったのです。 するとその写真の男性は中東系プロレスラーで試合中にケガをしたものだった。いい思い出です。
39分前 Tweenから takomati宛

引用終わり

さて、私が朝日新聞に入った頃はまだ有楽町本社だった。当時は上井草寮に入っていたため西武と地下鉄を乗り継いで通勤した。

あ る日、私は地下鉄の向かいのシートに座っている男性の新聞に気がついた。そこには「江川、絶好調!」という文字が1文字10cm×10cmくらいの大きさ で見出しに使われていた。それは普通の新聞であれば第3次世界大戦が起きない限り使用されないレベルの巨大活字(写植)だった。

今では野 球から離れ、ワインなどの趣味系評論家になった江川卓氏だが、当時は投手として怪物くんと呼ばれていた。一体、江川が何をしたのか、私の想像力は大きくか き立てられた。この活字の大きさを見ると、どうも消える魔球を編み出したようだ。何故なら完全試合をしたくらいのことで、このような巨大見出しを使う理由 がないからだ。私は内容が知りたくてウズウズしてきた。ちょうど、良い具合に、その新聞を読んでいた男性は新聞を座席に置いたまま次の駅で降りてしまっ た。

私は素早く前のシートに移り、震える手で新聞を取り、1面記事を読んだ。そこに何が書いてあったかというと

1.開幕戦の前の投球練習を江川が行った
2.その投球練習での制球、球の集まり具合が良かった

こ の2点であった。どこにも消える魔球の解説は無かった。しかし、新聞業界に身をおく私はすぐに気がついた。消える魔球の報道を嫌うナベツネが圧力をかけて 記事を消したのだ。それに違いない。恐らく、その新聞をライターで炙ると本当の記事が現れるはずだが、私はタバコを吸わないためにライターを持っていな かった。また地下鉄の車内でライターで新聞を炙るのも何か変態じみていた。そのうちに有楽町に到着し私は、その新聞と別れを告げた。

興奮さめやらない私は会社の広告フロア(有楽町時代は1階)に入ると、すぐに広告の同僚に話しかけた。

「オマエ達、江川が消える魔球を生み出したのを知ってるか?」

と私が言ったが何ら反応は無かった。そこで私は「江川、絶好調」という巨大見出しとナベツネからかかった「もみ消し圧力」に関して熱く語ったのだが、彼らは「東スポだろ?今、ちょうどニュースが無い頃なんだよ」と言ったきり会話が終わってしまった。

私はやっと東京スポーツという新聞の「恐ろしさ」を実感したのだった・・・・ それは社会人としてはじめて味わった挫折だった。