消費税は格差を拡大させる

与党も野党も消費税をあげると言っている。消費税のマイナス面は何か?これは買い物をするたびに税金を払うことを意識させられることだろう。実際に重税かどうかは別にして一般国民に重税感を持たせるのは確かだ。

他方で、消費税を上げるのは望ましいと主張する人がいる。そうした人の主張によると、金持ちほどたくさん消費するから、消費税は所得再分配効果=格差是正効果を持つのだという。しかし、果たしてそうだろうか?

私 が一番、自由に使えるお金を持っていた時期は1995年頃だった。当時は朝日新聞勤務時代に貯めこんだ貯金があったし、翻訳の仕事でも年間750万円程度 の売り上げがあった。社員は私一人だから自由に使えるお金はタップリあった。で、私は何をしたか?英米のアマゾンやロンドンのスターンズ(アフリカ音楽専 門店)から毎月、30-40枚のCDを買っていた。日本でソフトが手に入らないからだ。時には楽器を取り寄せることもあった。LP社(ラテン打楽器専門 メーカー)の打楽器もこの頃、NYの楽器屋から買った。日本では流通していなかったからだ。正確には取り寄せ楽器だった。どこから取り寄せるかというと LP本社である。結果として、当時の私が行った(私にとっては)盛大な消費は日本のGDPにも税収にも寄与しなかった。ひたすら欧米経済GDPと税収に寄 与しただけだった。

私は日本の消費者の行動パターンから自分の消費行動がかけ離れているのは十分理解しているが(笑)、今、消費税上げを提唱している人たちは、それが日本のGDP/税収増加につながるという確信があるのだろうか?

こ れだけネット通販が発展した現在、消費税を上げても、資産家を含む賢い人たちは海外からの物品購買を増やすだけだろう。特に私が関係している音楽の分野で はソフト(音楽制作ソフト/音楽ソフト/音楽制作素材)がダウンロード販売されている。そのダウンロード販売の本社が海外にあった場合、消費税を上げれば 上げるほど、海外からソフトを買う人が増えるだろう。他方、所得が社会の下にある人には、そうした余裕がないから消費税が上がった分は、そうした人たちの 生活を直撃するだろう。

私は消費税が所得格差解消に役立っているという議論に大きな疑問を持つ。個人的な印象を言えば、所得格差拡大を助 長していると思う。現在の所得税議論は海外からのネット通販が非常に難しかった頃の考えを基礎にしているように思える。もし、そうした考えで消費税を上げ れば、日本のGDPと税収は逆に落ち込むだろうと私は予測する。

もし、税金を使った所得格差縮小を考えるなら、組合費を撤廃すればいいと 私は思う。私は朝日新聞社員の時代、毎月、多額の組合費が天引きされるのに怒りを覚え組合に対し、脱退を申し出た。ところが、朝日新聞労組は「抜けるなら 抜けてもいいけど、会社からどんな嫌がらせがあっても誰もキミを守ってくれないよ」と脅した。結局、私はそうした脅しに負けて組合を抜けることができず 「膨大な組合費」を払った。で、私が実際に会社とトラブルをおこし辞表を出すかどうかという時に相談した組合が言った言葉は「キミが訴訟をおこしたいなら 弁護士を紹介する」、これだけだった。

そうなのだ、今の日本には表の政府と裏の政府が存在し、両方が「税金」を取り立てている。表の政府 が取り立てた税金は、使途が公表されている。実際に私が住む街のインフラは税金で整備されたものだ。他方、裏の政府=労組により取り立てられる税金=組合 費に関しては、明確な使途の説明を受けたことは一度もない。今、国民の税負担を減らしたたいと思うなら裏の政府の税金=組合費をゼロにすべきだ。その分は 確実に国内消費に回るだろう。

追記

私が朝日新聞労組に名古屋本社広告代表として関わっていた時に労組委員長と話をする機 会があった。その人は私の記憶が正しければ東京本社社会部の記者だったが、私にむかい「昔のように労組の委員長をやれば会社に認められる時代じゃないし ね。貧乏クジを引かされたよ」と自嘲気味に語った。

一般国民の認識で言えば、朝日新聞の労組委員長と言えば「過激な闘士」を思い浮かべる かもしれない。だが、現実には職場から押し付けられた義務を嫌々、果たすだけの普通の人たちだった。つまり労組はただの巨大利権団体でしかなかった。利権 を守るためなら脅しでも暴力でも何でもやった。つまり朝日新聞労組は朝日新聞労働者の代表では無かったのだ。

そして私は思うのだ。私たち、朝日新聞社員が毎月、払った膨大な額の組合費は一体、何に使われたのか?何故、我々は表の政府だけでなく「闇の政府」に対しても組合費という形で毎月、納税しなければいけないのか?

労働者を「闇の政府」の支配から開放すべきだ、私は本気でそう思う。