ミロンガを巡る考察

とりあえず新曲"Milonga para mi alma"をアップした(フロント・ページ参照)。

ミ ロンガやタンゴは日本にもファンが多いのだが、ほとんどの人は黒人音楽の影響を認めていない。だが私はミロンガもタンゴもどちらもアルゼンチンの首都ブエ ノス・アイレスに多くの黒人が住んでいた頃に生まれたと考える。そうした黒人は今はアルゼンチンにはいない。彼らはどこに行ったのか?隣国ブラジルだと私 は考える。

タンゴに関してはコンゴの公用語であるリンガラ語で時代を意味するntango(ンタンゴ)の頭のンが取れたと考える。これは nabossa(必要とする)というやはりリンガラ語の単語の頭のnaが取れてボサ(ノバ)になったというのと同じ論理に沿っている。だが、今さら真実は こうだと言うのも大人気ないので幾つかの「証拠」を挙げるにとどめ、後はこの文章を読まれるかたの理解力にまかせたい。

http://www.milonga.co.uk/cuba/arsenio.html

上のサイトでキューバ音楽の父アルセニオ・ロドリゲスに関してこう 書いている。

キューバ東部のマタンサスに生まれたアルセニオはコンゴ出身の祖父から部族音楽の全ての知識と伝統を授かった。

アルセニオ・ロドリゲスがどうしたと言われるかも知れないが個人的にはスペイン語圏ラテン・アメリカは全てキューバ音楽の影響を受けていると私は考えているので、何処から来たアフリカ人がキューバ音楽の基礎を作ったかは非常に重要だと思う。


http://www.nytutoring.com/libertango/articles/Tango_Milonga.html

上 のサイトの主張によると南米に来たアフリカ人奴隷は主としてコンゴ、ギニア湾、スーダン南部出身だという。上のサイトはタンゴというのはアフリカ人奴隷の 集会所という意味と説明している。ブエノス・アイレスでは16世紀にタンゴがアフリカ人が踊る家という意味で使用されていたという。その時に使用された打 楽器の名前がtamboでこれがなまったという解釈をしている。ミロンガに関してはアンゴラの言語キンブンド語で言葉を意味するmulongaが複数形の milongaになったと説明している。

最後にミロンゴ(milongo)という名前のコンゴ人首相がいた(コンゴ共和国)

http://en.wikipedia.org/wiki/Andr%C3%A9_Milongo

André Milongo
 
Milongo meeting with President George H. W. Bush at the White House.André Ntsatouabantou Milongo (October 20, 1935[1] – July 23, 2007) was a Congolese politician who served as Prime Minister of the Republic of the Congo from June 1991 to August 1992.

アンドレ・ミロンゴは1935年10月20日-2007年7月23日まで存命したコンゴ人政治家である。

こうした発音体系はバントゥー系言語に共通しており、あまりコンゴやアンゴラで分けても仕方がない部分がある。第一、コンゴ王国自体が現在のコンゴ人民共和国とアンゴラにまたがる地域に存在したのだから。

昔、自分のサイトでこうした解説を延々と書いたが当時は「西アフリカ信者」が多く、ほとんど理解してもらえなかった。現在、状況が大きく変わったのはアンゴラ政府が内戦終了を受けて開始した自国文化啓蒙活動による部分が大きい。

ボ サノバやタンゴがコンゴ起源という私の主張は恐らくこの文章を読む人には信じ難いと思う。多くの人は純粋に白人の音楽と考えている。では、ボサとかタンゴ とかミロンガという単語は何から派生したんですかと聞くと誰も答えられない。私は正しいかどうかは別にして少なくとも全てコンゴとアンゴラの言葉から生ま れたという説明をしているのだが・・・・・・・・・・・・・