博士の異常な愛情
2010.07.07

梅棹忠夫氏が無くなった。といっても最近の若い人は知らないかも知れない。たいして若くない私も何をした人なのか、よく知らない(笑)。ただ梅棹忠夫氏の一連の日本語自虐史観は非常に強く印象に残っている。

1970 年代だったと思うが、梅棹忠夫氏は新聞の紙面で「日本がかな漢字表記をしている限り世界から取り残される」という記事を寄稿された。その記事の中で梅棹氏 は「中国は簡体字の普及を進め、漢字の廃止を進めている。日本だけがかな漢字表記にこだわり世界から取り残される。日本は国策としてローマ字表記を進める べきだ」と主張された。この頃の中国高官は「我々は日本に漢字を伝えるという大きな罪を犯した。謝罪したい」と発言をしていた。梅棹氏の発言はまさに中国 政府の意向にそったものだった。私は大きな違和感を持った。かな漢字表記の何が問題なのか理解できなかったからだ。

皮肉な事に簡体字は中国政府により否定された。

引用(wiki)

2009年3月3日、中国政府の諮問機関である全国政治協商会議の潘慶林委員が、簡体字は中国の伝統文化の継承をさまたげるとして、今後、10年間で繁体字に段階的に戻すよう提案を行った。

引用終わり

今、人民日報ネット版を読んできたが確かに簡体字は減っているようだ。

http://www.people.com.cn/

大 体、漢字は今の漢民族を自称する人たちが作ったのか?明らかに違うだろう。漢字を作った古代中国民族は、遊牧民により滅ぼされ、本来の漢民族を虐殺した人 が現在、漢民族を詐称していると私は理解している。つまり梅棹氏の「日本語が世界の潮流から遅れないためにかな漢字表記を止めてローマ字表記をすべきだ」 という主張は内容そのものが空疎な屁理屈であるだけでなく、中国を過大評価し日本をおとしめるという自虐史観の「かをり」がプンプンする。

梅 棹氏の漢字廃止論/ローマ字表記は『日本語の将来 ローマ字表記で国際化を』(NHKブックス 日本放送出版協会 2004年)で詳述されている。アマゾンでの書評を読んできたが、酷評だらけだった。つまり梅棹氏の漢字廃止論/ローマ字表記は議論にも何もなってないと いう考えはネットでは一般的なようだ。少なくとも私の独善的偏見ではないようだ。

この関連で私が想起するのは韓国の表記システム、ハング ルである。ハングルはローマ字表記ではないが、少なくとも漢字を廃止したという点では梅棹氏の主張の延長線上にある。すでに書いたが北朝鮮シンパである盧 武鉉氏が韓国の大統領だった期間は2003年2月25日-2008年2月24日である。そしてNHKが「韓流ブーム」を始めたのが2003年4月 - 9月にNHKBS2で放送した「冬のソナタ」というドラマである。

何故、梅棹氏は誰が見ても何ら説得力のない漢字廃止論/ローマ字表記にこだわったのか?

大 体、それほどかな漢字表記に問題があるなら自分の著作を全てローマ字表記で出し、過去の出版物を絶版にすれば良いのに(笑)。梅棹忠夫氏の業績をどう評価 するかは私が関与するところではないが、少なくとも言行不一致の知的誠実さに欠ける人という主張は可能かつ有効だと私は思う。