何故か議論をさける日本のマスゴミ
2010.07.08

ポー ル・クルーグマンという経済学者がいる。ずっとNYT(ニューヨーク・タイムズ)の論説を書いている。アメリカの場合、メディアにより共和党支持か民主党 支持かはハッキリしている。NYTは民主党支持者の牙城だった。日本の新聞のように不偏不党、七転び八起きなどと意味不明な社是を掲げるよりは遙かにまし だ。だがクルーグマンの書くブッシュ批判は皮肉を通りこして毒で溢れており、正直読みながら辟易したものだ。

そのクルーグマンが8年くら い前にNYTで「日本において近い将来財政破綻から資本逃避がおきる」と言った趣旨の論説を書いた。この時、頭にきた私はクルーグマン氏に反論を書いた。 krugman@nytimes.comだったかな、ちゃんと連絡用のメール・アドレスが記事の最後にあったのだ。送って数分もたたないうちに返事がき た。開けてみると「オマエのメールは確かに受け取った。だが、オマエと違いオレは大変、忙しい。返事は期待するな」という自動返信だった。確かにクルーグ マンが自らメール・チェックをすることは無いだろうが、そういう仕事をする学生アルバイトを大抵の新聞社は雇っている。ひょっとしたらクルーグマンは私の メールを読んだかも知れない。何故なら日本人が直接、NYTに対し意見を送ることは希だからだ。

そのクルーグマンは自分の意見は間違っていたとちゃんと訂正・謝罪している。

2009年4月14日 ... 2008年のノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン米プリンストン大教授は13日、外国人記者団との質疑応答で、 1990〜2000年代にデフレ不況に陥った日本政府や日本銀行の対応の遅さを批判していたことを謝罪した。

こ のように自分の間違いをキチンと認めることを知的誠実さと言う。某大前研一のように、日本はアイスランドを見習え、超大国EUを見習え、ロシアが大国化す るのに備えよ、東欧経済はこれから発展するという全く当たらない予測を次々と書き続けながら自分の非を認めない人とは大違いだ。

そのクルーグマンが今、アメリカで熱い論争をおこしている。日本語だと下のブログしか見あたらなかった。個人のブログから引用するのも失礼なので英文ソースから引用する。

http://abetch.exblog.jp/10889811/ (日本語ソース)

「第三の大恐慌」 ポール・クルーグマン NYT  2010年 06月 28日
米ニューヨーク・タイムズ紙 6/28付
ポール・クルーグマン

http://www.foxnews.com/opinion/2010/06/29/liz-peek-economy-recession-
deficit-spending-debtstimulus-frontier-debt-stimulus/

こ ちらのフォックスはNYTとは反対の共和党系保守メディアだ。当然ながら民主党系のクルーグマンの提案をボロクソに批判している。批判するのは健全な言論 活動なので問題ないとして、問題なのはクルーグマンの主張する「今、財政出動を止め緊縮財政に移行したら我々は恐慌に陥る。何があろうと財政出動を続け よ」という提案である。

世界最大の経済、アメリカが恐慌に陥れば日本も「多大な影響」を受けるだろう。我々は小渕政権まで財政出動をして バブル崩壊後の不況から脱出しようと試みたが、橋本政権が時宜を得ない緊縮財政を行ったために景気回復のチャンスを潰したという苦い経験を持つ。私はク ルーグマンが主張していることは大変、重要であり、彼の主張が正しいのかどうか議論すべきだと思う。

ところが日本の新聞もTVも全く取り 上げない。もはや緊縮財政路線が日本の既定路線であるかのような印象を受ける。クルーグマンが正しいかどうかは別にして議論をすることの何が悪いのだろ う?大体、数年前まで紙面でクルーグマンの意見が掲載されているのを何度も見た。また日本での講演会やインタビューもあった。

「クルーグ マンの日本経済への処方箋」とか「クルーグマンの財政危機への警告」とか「クルーグマンの勧めるFX業者」とか「クルーグマンの教えるロウソク足の読み 方」とか無数にあった。何故、今回、日本マスゴミはクルーグマンの意見をベースに議論をしようとしないのか?いつから議論をすることは日本のタブーになっ たのか?

映画「ザ・コーブ」の主要人物であるリック・オバリー氏が来日し、何者かに尾行され(?)「ここは北朝鮮でもキューバでも中国でもないはず」と言ったそうだ。

残念ながらメディアのレベルに関する限り

北朝鮮>>日本のようだ。