不誠実な国家破産論者
2010.08.08

確 か先週の木曜日だったと思う。たまたま見たTVで日本国債に関して議論していた。一方の方は良識ある人のようだったが、もう一人の人の主張がひどかった。 この人は「日本国債は確かにほとんどが国内で保有されているが外国人保有分も5%ある。そして今の金融は世界に通じている。実際に過去1年間に5回も外資 による日本国債売り崩しが行われた」と何度も主張した。対して、良識ある人は正鵠を得た反論ができず見ていた私はイライラしてきた。そこで私がこの討論に 参加していたという仮定で以下の文章を書いてみる。

「外国人は過去1年間で5回もJGB売り崩しをしかけてきたんですよ。竹本さん、今すぐ財政再建に取り組まないと大変な事になります」
「W さん、外国人がJGBを5%保有しているのは事実ですが、保有しているのはアメリカ財務省などが外貨準備として保有しているものとグローバル債権ファンド がJGBを組み入れているもののどちらかです。アメリカが外貨準備として保有しているJGBを売ってきたんですか?」
「そういう問題じゃないんですよ。過去1年で5回JGB売り崩しが仕掛けられた、これは金融関係者に聞けば簡単に確認できます」
「Wさん、言われていることがよく理解できないんですが要するに長期国債先物を使った売り仕掛けが5回あったと言われたいんですか?」
「いや重要なのは5回もの売り崩しがしかけられたということです」
「Wさん、その5回の売り崩しは何時仕掛けられたんですか?私は毎日、長期国債先物価格を30分に1回は見てますが、そのような売り崩しには全く気づきませんでしたが」
「竹本さん、そういう問題では無いんです。世界の金融市場はみんなつながっているんです。日本だけでどうこうできる問題では無いんです」
「Wさんの言われてることの意味が理解できないんですが今日の長期金利は1%を切ってますね。ということは売り崩しを図った外資はよっぽどヘタクソかないしはJGBに対する大きな需要があるということではないんですか?」
「竹本さん、外資は日々、JGBの売り仕掛けをしてるんですよ」(だんだん元気がなくなる)
「Wさん、それはCTA(商品顧問業者、いわゆる短期筋)がよくやる債権先物売り、株先物買いの裁定取引では無いという証拠を示してください」
「竹本さん、そういう問題じゃないんです。今日の長期金利がいくらであろうと日本がかかえる巨大な政府債務を考えるとJGB暴落は避けられないんです」
「はっ、市場には暴落の兆候が全く見られませんが」
「だから今日の問題じゃなくて将来、必ずJGBは暴落するんです」
「現在、暴落の兆候が全く無いにもかかわらずJGBが将来、暴落するという根拠を示してもらえますか、Wさん」
「竹本さん、すでに外資が過去1年に5回売り崩しをしかけたんですよ」
「それは全て失敗してますね」
「これまでは運に助けられてましたが、将来は必ず暴落します」
「で、その根拠は?」
「いつまでも幸運は続かないということです」
「わかりました。Wさん、アナタは要するに論理からかけ離れた予言を行ってる訳ですね。私は神学論争をするために来たのではないので議論を打ち切らせていただきます」
「そういう風に現実から逃避する日本人が多いから外資の売り崩しが続くんです」
「そういう予言があったことは覚えておきます」
「いや予言ではなく・・・」
「何ら根拠を示せないんだから予言でしょ。違うというなら根拠を示してください」

と ころで私が上記のような主張をTVで行ったとして視聴者はどう思うだろうか?恐らく「せっかくWさんが真面目に日本の財政問題の深刻さを説明しているの に、この竹本という馬鹿は知ったかぶりで誤魔化そうとしている」と思うだろう。何故なら長期国債先物市場の動向を日々、見ている人は非常に少ないからだ。

そして最後にみのもんたが言うのだろう。「竹本さんは色々言われたがますます日本の財政は大変な問題になっていることがわかりました」。そしてTV視聴者は、論理や証拠と無関係にみのもんたの主張を鵜呑みにする。

日本のTV局は世界最高だな(笑)。白痴水準が・・・