何故、パット・メセニーはアフリカで人気があるのか?
2010.09.03

そう、意外なことに今や白人ジャズの代表の一人となったパット・メセニーはアフリカで非常に人気があるのだ。

私 が最初に気がついたのは南アフリカ在住モザンビーク人ギタリストJimmy Dludluのアルバムを聞いた時だ。彼のアルバムはメジャーレーベルであるユニバーサルから出ているので比較的、簡単に音を聴くことができる。個人的に はメラニーという女性歌手とのスキャットかけあいがある"Peaceful Moments"が一番、好きだ。この曲はボサノバ的でもある。

他 にもアンゴラ人ギタリストのシモンズという人とか。シモンズ氏はアルバムにより極端にスタイルを変えるのでわかりにくいが。感覚的に受け入れにくいのだ が、パット・メセニーのスタイルで演奏するギタリストがアフリカに相当いるのも確かだ。つまり一部、アフリカ音楽は日本人の想像をこえて洗練されているの だ。アルバムを入手するのは難しいと思うがChude Mondlane(シュデ・モンドラーネ)というモザンビークの女性歌手のアルバムも実にナイス だった。この人は、一時期アメリカ人ベーシスト、マーカス・ミラーのバンドでコーラスをやってたので見た日本人も多いだろう。

こうした音楽を聴くと一部アフリカ人もまたジャズ的な音楽の洗練を目標にしているようだ。この洗練されたアフリカ音楽は1つのムーブメントとして紹介するほど盛り上がってないので、これ以上、書くことがない。

コ ンゴ音楽に関して言えば、最も影響を与え真似されたのはジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーだろう。実際、マヌアク、ロキシー、ポポリポ、こうした ザイコ・ランガ・ランガ系列のギタリストのフレーズを聴いているとウェス・モンゴメリーのパクリ満載である。そこまでやるかという程、真似をしている。し かも、オクターブ奏法を取り入れてポップス路線になったウェス・モンゴメリーだけでなくハード・バッパーとしてのウェスを研究した跡も見える。不思議な話 だが事実だ。

私くらい古いジャズ・ファンになるとウェス・モンゴメリーの新譜をリアルタイムで聴いていたりする。実際、カッコ良かった。そしてコンゴ人もまた「こいつ、カッコいいぜ」と思いウェスのフレーズをパクリまくったのも事実なようだ。

こうした部分に世界の音楽相互影響の複雑さを私は見るのだが。

ところで私は何故、ハードバッパーとして地位を確立していたウェス・モンゴメリーが、ある時期から急にイージーリスニング売れ線に転向したのか不思議に思っていた。ところがYouTubeで読んだあるコメントはこう説明していた。

「ウェスには子供が8人もいた。ヤツは一生懸命、子供達を養おうとした。そして売れ線ミュージシャンになってからも仕事を入れすぎた。それで心臓発作をおこして終わりさ」

もし事実であれば本当にウェスは良いヤツだったんだな・・・・

参考

http://de.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Dludlu

ドイツ語wikiでのJimmy Dludluの解説。やはりウェスとパットの影響を挙げている。