細部に宿るのは神か悪魔か?
2010.09.13
困った時の上杉隆氏である(笑)。
引用
http://twitter.com/uesugitakashi
神
は細部に宿るなう。 QT @psychokinetica 何だこの枝葉末節にこだわるジャーナリスト達はw “@uesugitakashi:
求む、訂正!茅ヶ崎です。 QT @iwakamiyasumi 江の島で買ったヤツね。RT @tetsumura 雪駄ジャーナリスト。
6:25 AM Sep 11th webから
引用終わり
上杉隆氏は「神は細部に宿りたもう」と言う。ところが英語ではそう言わないのだ。
引用
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Devil_is_in_the_details
The idiom "the devil is in the details" refers to a catch or mysterious element hidden in the details.
引用終わり
英
語の表現を直訳すると「細部に悪魔が潜んでいる」となる。その悪魔がアルカイダか小沢一郎かは不明だ。ところで上の英語wikiも語源としては「神は細部
に宿りたもう」が本来の意味だったことを認めている。ちなみに最初にこの発言をしたのはドイツ人建築家と言われる。では何故、英語表現はここまで変わり果
てたのだろう?
以下は私の根拠のない推測であり、信じるも自由、信じないのも自由である。
最初に「神は細部に宿りたも
う」という発言をしたドイツ人建築家は「どれだけ全体の設計が良くても、細部で手抜きをすると台無しになる」と主張したと私は考える。これはドイツのマイ
スター文化を考えると十分ありうる話だ。そして、日本もまたそうした職人芸を評価する国だから「神は細部に宿りたもう」というオリジナルの表現がそのまま
広まった。
対して、英米では大きな設計(grand
design)が全てであり、それが物事の価値を決めるという考え方があった。そうしたアングロサクソン文化では「大きな設計がうまくできても細部の手抜
きで崩れることもある。だから細部にも注意を払わねばならない」と意味が変質したのではないかと私は考えるのだ。
残念ながらISOを始めとした国際基準は全て「細部に悪魔が潜んでいる」的な考えかたをベースにしている。つまり現在社会のビジネス慣行に照らすなら
神は細部に宿りたもう: ×
細部に悪魔が潜んでいる:○
と考えるのが妥当ではないかと私は思う。
上杉隆氏は「神は細部に宿るなう」と言われている。日本語表現としては、それで100%正しいのだが、世界的な潮流はむしろ「細部に悪魔が潜んでいる」という解釈に向かっている。
日本スペシフィックに言うなら
神は細部に宿りたもう:ガラパゴス化にともなう国内市場固め
細部に悪魔が潜んでいる:国際市場展開における留意点
となる。随分と衒学的な文章になったが、こうした細かい文章表現の「誤訳」から文明論を導き出すことが正に「神は細部に宿りたもう」「細部に悪魔が潜んでいる」という箴言の意図するところだろう。