日銀介入に抜けている視点
2010.0916
さて財務省による為替介入が昨日から始まった。日本だけでなく欧米メディアの関連記事も見て回ったが1つ重要な視点が抜けていると感じた。
まず、ずっと用語がおかしいと異議を唱えている非不胎化介入について。
世
界の中央銀行のほとんどはインフレを恐れている。中にはジンバブウェ中央銀行のように恐れてないところもあるが。そうした鉄砲玉のような中央銀行は例外と
私は考える。ここで何が胎化なのかを考えよう。将来、インフレを生み出す可能性のあるマネー・サプライの増加があるから胎化介入なのだ。それはインフレの
種が宿るという意味だ。これは英語ではただintervention(介入)と呼ばれる。対して不胎化介入は増加したマネー・サプライを吸い上げるからイ
ンフレの種が残らない、だから不胎化介入なのだ。つまり非不胎化介入というのはただの「介入」なのだ。強いて区別をつけたければ「胎化介入」である。
今回の財務省/日銀の介入は円売り・ドル買いだった。ところが外国サイドにして見れば日本円を持っていても使いようがないので、その円は必ず日本に戻ってくる。つまり日本円のマネー・サプライは必ず増える。
一
方でドルは石油や小麦を始めとした多くの主要商品の決済通貨だ。私は昨日の米国債の動きを見ていたが売られていた。もし、日銀が介入して入手したドルで米
国債を買ったなら、米国債は値上がりすべきだ(=金利が低下すべきだ)。だが、そうならなかったということは財務省は米国債を買うつもりはないらしい。ド
ルは、ほとんどの商品の決済通貨なので保有していても良いし、ドル不足に陥ってるところに貸し付けてもいいのだが・・・
現状で気がついたのはそれくらいか?
と
ころで日米欧のメディアを読んでいて気がついた欠落している視点とは何かというと、今、円買い・ドル売りのポジションを作っているのは、他ならぬ日本人自
身であるという視点である。もちろん全てでは無いが。所謂、ミセス・ワタナベだ。その比率がどの程度なのか私は知らないが、こちらはFXにおけるレバレッ
ジ規制などでで抑制できる部分もあるはずだ。実際、こちらのほうが通貨市場への介入よりずっとスマートなのだが。
財務省は玉を全て打ち尽くした訳ではないと私は考えるのだが、どうだろう?