さとうきび畑の謎
2010.09.16

(この文章は2003年頃に書いたものに加筆しました)

先日NHKラジオの番組を聞くともなく聞いていたらたまたま「さとうきび畑」の作詞・作曲をされた寺島尚彦さんが話をされており戦後に沖縄を訪問してさとうきび畑を見た後、東京に帰りこの「反戦歌」を作った話をされていた。

私 はこの曲、特にメロディーが好きである。実際、「雪が降る街に」などこの手の曲に弱いといってもいい。だがこの番組を聞いているうちに何か違和感を感じ た。それは何かというとキューバの曲「ワヒラ・ガンタナメラ」と似すぎているという点である。この曲はアフリカ系キューバ人(=黒人)ホセイート・エルナ ンデスが作詞・作曲したものでメキシコ系アメリカ人フォーク歌手ジョーン・バエズの歌で世界的に知られるようになった。

このガンタナメラの元々の歌詞は年老いた男が教訓めいたことをいうだけなのだが、何故この歌が反戦歌になったかというと

1.キューバ人の歌である

キューバ危機

キュー バ危機の回避は、おそらくケネディの大統領在職中の外交施策の中で数少ない、全面的に称賛されるものであった。巧みな政治手腕と側近からのサポートそして 運によって、ケネディは戦争を望んだ政権中の強硬派のコントロールと、ソ連の脅迫によって脅威が増すことを防ぐことの両方を試み、それに成功した。後に、 多くの人々がキューバ危機を「世界が核戦争に最も接近した時」であると考えている。

2.アメリカがキューバ革命後もキューバのグアンタナモに基地を維持している

ことの2つが関係していると思われる。見方を変えれば、アメリカの植民地が今もキューバにあるのだ(笑)。

と ころで「さとうきび畑」に戻るが、小さい頃から音楽教育を受け東京芸大を卒業したこの作曲家寺島尚彦さんの歌を最初に取り上げたのは日本のジョーン・バエ ズと呼ばれた森山良子さんであり後には上条恒彦さんであった。森山さんはよく知られているように良家のお嬢様であり、他方でオペラ歌手のように良く響く声 で歌い上げる上条さんのバックには組織的動員力を誇る左翼系音楽鑑賞団体があった。

話は変わるがここ2年くらいグアンタナモ基地の名前をよく聞く。アフガニスタンで捕虜になったタリバン兵がここに収容されているからだ。

お前は何を言いたいのだと言われるかもしれないが別に主張はないのだ。こうしたペンタトニック・スケールの単純な曲でワヒーラのリズムの上にコードをつけていけば似通ってしまうのは当たり前で寺島尚彦さんの盗作という気は毛頭ない。

た だNHKという正しいメディアが東京芸大という正しい学校を出た作曲家の曲を取り上げ、しかもその歌を最初に歌ったのが良家の子女で知られる森山良子さん である、なとと考えていくと新聞の社説的な「正しさ」の連続に息がつまりそうになる。私はそうした個人的な感想を持つ。

ところでキューバ の「ワヒラ・ガンタナメラ」は当然打楽器の伴奏がついたダンス曲だった。この曲は鑑賞するのではなく踊るのが正しいのではないだろうか?そういえば沖縄が 日本に復帰した時のドキュメンタリーを見るとみんながカチャーシーという沖縄の踊りで祝っていたなとか想い出したりするのである。

このよ うに一回でもアフリカ/コンゴに行くといかなる事も素直に受け取れないのである。そういえば音楽評論家の中村とうようさんもキューバ革命に共鳴しキューバ まで行ってさとうきびを刈り取る作業をしたと昔、書かれていた。だがキューバ革命の本質とオマエのオナニー的なさとうきび畑収穫快適1週間の旅とは何も関 係ないじゃないかと私は思った。残念ながら、中村とうよう氏の考えは今もピース・ボートに引き継がれている。