ピースボートの目的は何か?
2010.09.25
(この文章は2005年に書かれたようです。内容は古いものの私の主張は同じなので、そのまま掲載します)
グーグルでピースボート+辻元清美で検索すると様々な「濃い情報」が出てくる。別にコンゴ音楽の観点からコメントすることはないがピースボートには疑問に思う点もある。
昔、
ニカラグアがコントラとサンダニスタの内戦の舞台になっていた時、ニカラグアに戦争を見に行くツアーというのが組まれた。十数人応募者があり実際にツアー
は実行された。戦争を見に行くツアーに参加した人はどういう人たちか、かなり記憶が薄れているが覚えている範囲で書いてみると
1.戦争・武器マニア
2.ただ戦争を見たい、それだけの人
3.特に理由はないが退屈を紛らわしたい人
などだったと思う。ニカラグアから戻った人の声も読む機会があったが、戦争ってあんなものなのかという冷めた意見が多かった。このツアーはあくまで興味本位で戦争を観戦するのが目的であり生命の危険も含め自己責任で行動し、それぞれ「成果」があったようだ。
下にピースボートの2005年2月2日スタート分の寄港地を書く。
使用客船:トパーズ(パナマ船籍・31,500トン)
2/2 東京
2/3 神戸
2/6 上海(中国)
2/11 ダナン(ベトナム)
2/14 シンガポール
2/19 コーチン(インド)
2/27 モンバサ(ケニア)
3/6 マッサワ(エリトリア)
3/9 ポートサイド(エジプト)
3/14 トリポリ(リビア)
3/16 チビタベッキア(イタリア)
3/19 マルセイユ(フランス)
3/23 ラスパルマス(カナリア諸島)
4/2 モンテゴベイ(ジャマイカ)
4/9 カヤオ(ペルー)
4/15 バルパライソ(チリ)
4/21 イースター島(チリ)
4/28 パペーテ(タヒチ)
5/6 ホノルル(ハワイイ)
5/17 東京
5/18 神戸
ア
フリカの関連で言うと、寄港地はケニアのモンバサ、エリトリア、カナリア諸島なのだ。ピースボートという名前から勝手に戦争状態にある国を中心に回るので
はないかと思っていたのだが、人によっては大げさに「第3次世界大戦」とも呼ぶコンゴを中心とした紛争地域が含まれてない。アンゴラのように内戦で国内が
ずたずたになり未回収の地雷が大きな問題になっている国も含んでない。エイズ禍が深刻な南アフリカも含まれてない。
ケニアのモンバサと言
えばアフリカ有数のリゾート観光地だ。カナリア諸島もまた冬を嫌うヨーロッパ人で賑わうリゾート地だ。エリトリアのマッサワは地図で確認する限り紅海に面
した都市のようだ。要するにピースボートというのは名前と裏腹にアフリカの本当に困窮し混乱した地域とは一切関わりあいたくないようだ。上海、シンガポー
ル、マルセイユ、イースター島、パペーテ(タヒチ)、ホノルルなどはもはや観光目的で選んだとしか考えられない。
ところでピースボートの理念は以下のようなものだ。
引用
ピースボートが目指すもの、それは世界中のNGO(市民グルー
プ)や学生たち、子供達と交流しながら、国と国の利害関係とはちがったつながりを創っていくことです。そのために必要なことをは、まず自前の「場」をつく
ることだと考えます。船内をはじめ、国内で、各寄港地で世界各地で共に語り、考え、実行していく空間がピースボート。そんな自由な「場」が、ときには日々
刻々と変化していく世界の内にある矛盾をときほぐしながら、新しい地球をつくっていく「力」となるのです
引用終わり
そ
うだったのか、私はピースボートという名前から実際に戦争が行われている土地を訪れ戦争の悲惨さを肌で感じてもらうという趣旨だと勘違いしていた。なるほ
ど、NGOや学生との交流が目的ならコンゴもアンゴラも含まれないはずだ。何故ならコンゴ人やアンゴラ人のNGOは存在しないも同然だし就学率が非常に低
いために学生も少ないからだ。
しかしである、ピースボートの趣旨には「世界の内にある矛盾をときほぐす」とある。矛盾ならコンゴやアンゴ
ラには山ほどある。逆にマルセイユ、イースター島、タヒチ、ホノルルにどういう矛盾があるのだろう?ピースボートははっきり言ってニカラグアに興味本位で
戦争を見に行った連中以下である。何故ならニカラグアに行った連中は本物の銃撃戦を見て戦争はどういうものか肌で理解したのに対し、タヒチやホノルルを
回ってもフラ・ダンスとウクレレが上手くなるだけだ。違うでしょうか?