動物のための音楽
2010.09.27
(これは2005年頃に書いたものと思われます。ただ書いてる内容はビジネスとして考えると大きいという指摘を読者の方から受けました)
昔、
私がサラリーマンをやってた頃、会社の忘年会がある旅館であった。その旅館は大きな猫を飼っており我々が騒いでる中にノソノソと入ってきた。若い女性は喜
び、声をかけて自分の方に呼ぼうとするのだが猫は無視して部屋から出ていこうとした。その時、私が「ミャー」と声を出した。すると猫はくるっと振り返り一
瞬私を見た。そして部屋から出て行った。周りの同僚は不思議そうな顔をして私を見たのだがこれは簡単なトリックだ。「ミャー」を吐く息でなく吸う息で発音
するのだ。100%効く訳ではないが2回に1回は振り向かすことができる。
私は犬を飼っているが私の音楽にはまるで反応しない。ところが
先日餌をやってる時にサンバ打楽器のパターンを膝で叩いたら顔をあげて私を見た。今、このエッセーを書く前にもう一度試したがサンバ打楽器のパターンにだ
け反応する。そこで考えたのだがうちの犬はサンバが好きなのだろうか?そうではないのだ、私が叩くサンバのパターンとこの柴犬の歩く時のトコ・トコ・トコ
というテンポ/リズムが似通っているから散歩に連れていってくれると思うだけなのだ。
さて、上の2つの例は動物と音楽の関係を考える良い
材料になると思う。まず音楽は高度な文化産物だから犬や猫は自分達で音楽を作ることができない。そして人間の音楽を聴かせても犬や猫は音楽に反応しない、
理解できないと言う人もいる。だが音楽は人間でも好き嫌いが激しい。ヘビメタがかかるとすぐラジオを切る人もいればボリュームを上げる人もいる。ましてや
犬や猫の好きな音楽は人間と大きく異なると考える。
1.人間は二足歩行、犬や猫は4つ足歩行
2.心拍が違う
3.可聴範囲が違う
他
にも色々考えられるが一番大きな「障害」は人間は二足歩行する珍しい動物であり、人間の音楽は当然人間の歩き方をベースにしている点だと思う。ジャズ・
ファンであればwalking bassを連想するだろう。また心拍(ハートビート)とビートとはやはり関連があるのだが、その心拍数が人間と違う。さら
に聴き取れる音の範囲が違う。どんなに美しいピアノ曲でもC3より上(中高音域という意味)を切り取って再生して感動する人間の音楽ファンはまずいないだ
ろう。そして犬や猫の可聴範囲が人間と違うのは確実であり心地よく聞こえる音域もまた違うだろう。
つまり犬や猫といった動物は人間の音楽
に反応しないだけであり、もし柴犬を選んで彼らがどういう音に反応するかを調べていけば柴犬のための音楽ができると私は考える。そして今のペット・ブーム
を考えれば実際に数年後に動物のための音楽アルバムが現れてもおかしくないと思う。つまり犬や猫も音楽を楽しむことができる、だが誰もそうした音楽をこれ
まで作らなかったというのが真実だと私は考える。現に、同じ「ミャー」でも吐く息と吸う息の音は「違う音」と猫は認識るのだから。
じゃあ、自分で犬・猫用の音楽を作れば良いようなもんだが残念ながら、そうした商売気が全く無い(笑)。