開高健氏の無知と誤解
2010.10.01

昔、開高健氏のオーパを読んでいたら、 ブラジルではサカナというと誤解される、必ずウオと言うようにという部分があった。当時、私はクリスティーナという日系ブラジル人女性を囲むブラジル・ポ ルトガル語の勉強会に参加していたのだが、誰も開高氏が何を言いたいのかわからないと言う。そこでサカナが何故ブラジルではタブーなのかを私なりに解説し てみたい。

日本語にも英語にもものすごい数のスラングがあるようにブラジル・ポルトガル語にもスラングがある。その1つが

sacanagem(サカナジェンイ) ジェにアクセントがある

で ある。この言葉は猛烈に汚い言葉らしいのだが意味は様々だ。政治的な不正、モラルに反する行為を指すこともあるしオナニーを指すこともある。何らかの薄汚 い行為をまとめてサカナジェンイと呼ぶ。私の考えるに開高健氏はサカナとサカナジェンイを混同したのでは無いかと思う。何故なら、サカナという言葉がブラ ジルでタブーであるという証拠が存在しないからだ。昔、LAの歌手ボズ・スキャッグスのlow−downという曲がヒットしたが、ニュアンスで言えばサカ ナジェンイ=ロウ・ダウンである。

クリスティーナという女性はサンパウロ大学の言語学部を卒業していた。日本で言えば東大法学部相当であ る。当然、彼女のポルトガル語の知識は豊富なはずだが、私が質問をするといつも「そんな表現・単語は聞いたことがない」と言っていた。何故なら私はブラジ ル音楽の中でもアフリカ色の強いものを当時、聴いていたからだ。

今、思い返せば開高健さんの文章にも相当な知ったかぶりと誤解があったなと私は思う。今の私は本と縁がないのでどうでも良いと言えばどうでも良いことなんだが・・・・

訂正とお詫び

下のサイトによるとsacanaというのは悪いヤツという意味だそうです。訂正し関係者にお詫びします。

http://www.sonia-portuguese.com/text/slang.htm