もう一人のサンバ
2010.10.02
(数年前の文章に加筆しました)。
ヘッ
ドハンターズは元々はジャズ・キーボード奏者ハービー・ハンコックのバックバンドだったが、人気があったのでハービーが抜けた後もバンド活動を続けたと理
解している。このバンドのベース奏者、ポール・ジャクソン氏は奥さんが日本人で、近年は日本に住んでおり、いくつかの日本人アーティストにゲスト参加して
いた時期もあった。
偶然にヘッドハンターズの新作”Evolution Revolution”の1曲を聞いた。その曲の歌詞がやけに耳
慣れて聞こえるので注意して聞いてみるとコンゴの公用語リンガラ語で歌っている。サンバ・ンゴー(Samba Ngo)というコンゴ出身の歌手兼ギタリス
トで、元々はヨーロッパで活動していたが今はアメリカに移ったらしい。
私はずっとコンゴにはやたらとサンバという名前の人が多い、それは
ブラジルのリズムであるサンバと関係しているはずだと主張しているので証拠がまた1つ増えた。しかしヘッドハンターズと言えばジャズ・ファンクのバンドで
どうしてそこにコンゴ人が参加したのか不思議だ。その経緯を調べてみた。まずヘッドハンターズのパーカッショニスト、ビル・サマーズが音楽家であると同時
に民族音楽学者らしい。そして今、サマーズはロス・オンブレス・カリエンテスというサルサ寄りのバンドをやっている。そこでサマーズとサンバが知り合い、
アルバムに参加したと発売元のベイズン・ストリート・レコーズのサイトには書いてあった。
ところでこのレコード会社はニュー・オーリンズ
の独自サウンドを追及する会社/レーベルだという。私はずっとジャズはハイチ革命を逃れてニュー・オーリンズにやってきたコンゴ系ハイチ人あるいはクレ
オール(混血)の産物だと主張している。何か、私の主張を裏付けるための会社のような気すらしてきた。この会社のサイトには”New Congo
Square”という新譜の説明もあった。「ジャズがコンゴ広場で始まった」という主張はジャズがもともとはコンゴ系音楽だからという私の主張に何か通じ
るものがある。
そんなのはただの間接証拠の寄せ集めだと言うのは簡単だが私のようなコンゴ・アンゴラから新大陸の音楽を見ている人間には気になる。サンバ・ンゴー、とりあえず名前を覚えておこう。