クルーグマンへの反論
2010.10.03

(2003年頃に書いた文章のようです。如何にポール・クルーグマンに反論したかが書いてあります。他にも日本が世界最大の債権国であることなども指摘したと思うのですが残念ながらメールを保存しなかったので証拠は残っていません)

ポー ル・クルーグマンという経済学者がいる。毎年、ノーベル経済学賞の候補に上がっているのでご存知のかたも多いと思う。この人はニュー・ヨーク・タイムズの 論説(OP-ED)も担当しており、私はその辛口のコラムを愛読している。そのクルーグマンのブッシュ大統領を批判した「嘘つき大統領のデタラメ経済」と いう本が早川書房から出版された(2003/01/07)。

内容は私がすでにネットで読んだものを集めただけなので買うつもりはないのだが、そういえば私は2年ほど前にクルーグマン氏にメールを送ったことがあったのを思い出した。

そ れは日本の銀行の不良債権を扱ったもので、「これは世界経済の時限爆弾である」と述べていた。それ自体は特に異常な主張ではないが、ちょうどその頃アメリ カのウォール・ストリート・ジャーナルや英国フィナンシアル・タイムズが相次いで彼らの独自試算による中国の4大国有銀行の不良債権比率は,、50%以上 であるという記事を掲載していた。

日本の銀行の不良債権比率は最高でも10%前後だ。日本の10%の不良債権が「時限爆弾」なのに、何 故、中国の50%を超える不良債権は問題ないのかと私は疑問に思い、www.nytimes.comに掲載してあるクルーグマン氏メアドにメールを送った。 ちなみにメール・アドレスはkrugman@nytimes.comだった。

送って5分後にメーラーを起動するとクルーグマン氏からのメールが届いていた。

そこには、「あなたの洞察力には感嘆した。どうか来週から私の代わりにNYTの社説を書いてください」とは書いてなく、「オマエのメールは確かに受け取ったけどオレは忙しいから返事は期待すんなよ」という、いわゆる自動返信通知が書かれていた。

同 時期、私は朝日新聞社論説委員船橋洋一氏にもメールを送った。船橋氏は中国北部の砂漠化は深刻で日本の援助でこれを防止すべきだと主張された。私は民主国 家日本の義務は中国の砂漠化の防止ではなく、中国人が預金を預けている国有銀行の不良債権比率が50%という複数の信頼できるメディアの報道があることを 中国人民に知らせることだと思った。私はそのむね船橋氏にメールを送った。だが自動返信すらかえって来なかった。

ここらあたりに私は日本 のメディアのバカさ加減を見るのである。もちろんクルーグマンも船橋氏も返事を書く意思は無い。だが自動返信をする費用はわずかである。メールを送った人 間は「自分のメールはちゃんと届いた」という満足感を覚える。何故、日本のメディアはこれができないのだろう?それをやらず、紙面では国際化を礼賛するの だから馬鹿の極みである。日本のメディアの国際感覚はこの程度なのである。

ところで何故、中国の国有銀行の50%近い不良債権は問題にな らないとクルーグマン諸氏が考えたかを推測すると、中国はいぜんとして政治的には共産主義である。もし、不良債権から国有銀行がバタバタ倒産しても人民の 財産を没収してそれを充てれば良い。共産主義というのはまさにそういう思想なのだ。もし預金没収に対し人民が反乱を起こしたら、中国の誇る人民解放軍が人 民を「解放」してくれるだろう。

それはそれで理屈が通っている。