ゴルフとブランド信仰
2010.10.05

(2003年頃に書いた文章に加筆しました。名古屋で5チャンネルは中部日本放送(CBC)であることを知ってると楽しめると思います)

私 は新聞社広告営業をしていたのだが、営業と言うのはゴルフをするものだという考えが非常に強く、ゴルフに全く興味のない私は時折返答に困ることがあった。 「***でのゴルフ大会でパーで回りましてね」と言われても何のことかわからず、「パーですか。それは、それは」などと曖昧に答え、言ってる自分がパーで あることを白状しているのだった。5アンダーとか言われても理解できず「ということはファイブがアンダーですね」と答え相手はけげんな顔をするのだった。

広 告と言う仕事/職場の特性からかゴルフとかブランドの話がよく出た。私が当時、担当していたプロジェクト(珍しく博報堂と組んだもの)のアルバイトとして ある娘を雇っていた。この娘は「自分の家は八百屋である」と言いながら職場までBMWで通勤するという謎の多い人であった。

ある時彼女が 来ているTシャツがなかなかよかったので、「いいTシャツだね。CBCでもらったの?」と声をかけた。そのTシャツにはチャンネル5と書いてあり、名古屋 では5チャンネルはCBC(中部日本放送)だったからだ。彼女はしばらく不思議そうな顔をした後に吹き出し、「カンベンしてよ。これはシャネルの5よ」と いうのだった。

確かにTV局が宣伝にくれるTシャツにしては良すぎるので私も不思議に思っていたが、シャネルがTシャツを出しているとは 知らない私は当然、CBCの販売促進グッズだと思ったのだ。だが災い転じて福となす、この事件以来、誰も私に対してブランドがどうのこうのと話かけること はなくなり、私は安心してコンゴ音楽新譜の出来映えに思いをめぐらしたのだった。女性のブランド好きにつきあう理由もなかった。

ある時、 職場でのリクリエーションがあった。その場に私が1週間ほど前に下町のバッグ屋で買ったバッグを下げていくと、私を普段相手にしない女性たちが驚き、「そ れ、ハンティングワールドじゃない。そういう趣味があったの」というのである。よくわからないがそういう名前の有名ブランド・バッグがあるようだった。

しかし私が支払った金額(2千円)から考えてもそういうブランド品であるわけがなく、恐らく中国製偽物と考えられた。だが、彼女達はそれに全く気がつかないようだった。「そう、最近ブランド物にこっててね」などと私がウソをついても誰も気がつかないのだった。

今はユニクロというブランドに凝っているのだが、残念ながらこのブランドは、アルマーニ(サラリーマン時代、着ていた)、ジャン・ポール・ゴルチェやトキオ・クマガイほど評価されておらず街で誰も振り向かない。残念な話だ(笑)。