日米ギタリスト比較
2010.10.28

新曲「暗い波」と「シャーディーに捧げるブルース」(ハイファイ版)をアップ。どちらも新しい次元の音楽リアリズムの試み。特に後者は、ここまで音が良くて良いのだろうかという疑問が湧く。これはチェスキーとかのハイファイ・マニア向けレーベルの音だ。

何回も書いているが私はカルロス・サンタナのファンである。そこで昔、制作した「カルロスに捧げるサンバ」を作りなおした。一発録りの勢いを残すテークを選んだために相当にミスがある。フレーズの構成音間違いも演奏ミスも両方ある。その内にうまくなるでしょう(笑)

話題は変わって日米ギタリスト比較である。まず渡辺香津美とアル・ディメオラの共演。
 
http://www.youtube.com/watch?v=and5Pbk-vjQ

個 人的な感想を言えば、渡辺香津美のソロのほうがより「歌っている」。ディメオラはピッキング技術はすごいのだが手癖丸出しだ(笑)。この曲で渡辺香津美は ナイロン・ギターをピックで演奏している。当然ながら音量が落ちる。またダイナミクス(強弱)もつきにくい。ディメオラはそれがわかっているらしく香津美 さんのソロ・パートでは音量を下げたバッキングをしている。例えばギターの低音弦でのバッキングなどだ。両者とも芸が深い。

ところでディ メオラは偉大なギタリストとして世界的に認知されているが渡辺香津美さんはされてない。技術の問題では無いのだ。パット・メセニーが日本公演を行った後に ジャズ・ライブを聞きにいった。そこで演奏していたのが香津美さんである。パットは聴いているうちに急に立ち上がりホテルに戻ってしまった。ホテルで何を していたかというとギターの練習だそうだ。これは一緒にライブを聞きにいっていたバンド・メンバーの話だから本当だろう。それほど香津美さんの演奏は技術 的に高かった。

最初のカルロス・サンタナの話に戻るのだが、サンタナと高中正義のジョイント演奏動画も上がっている。

http://www.youtube.com/watch?v=L2Eia79WZuA

二 人ともギターのチューニングが無茶苦茶(笑)。それを無視すると高中のほうがうまい。ギターの音色とかはカルロスのほうが圧倒的に良いのだが。カルロスの ソロは何か間違っている。サンタナという人は全ての曲をマイナーに感じる人で、このような馬鹿明るい曲でもドリアン・スケールというマイナー・コードに良 く合うスケールを使っているようだ。高中の曲に無理矢理あわせている面もある。

しかしである。ディメオラもメセニーもカルロスも偉大なギタリストとして世界的に認知されているが高中はされてない。それは結局のところスタイリストになれたかどうかだと私は考える。

音 楽の世界でスタイリストと言うと「自分のスタイルを確立した人」という意味になる。そしてディメオラもメセニーもカルロスも自分のスタイルを持っている。 対して高中も渡辺香津美さんも世界的なスタイリストであるとは言い難いと言うのが私の意見だ。決して演奏技術ではなく自分だけのスタイルを作ることができ た人が「偉大なアーティスト」と呼ばれるのではないだろうか?

そういう意味では今、日本のベスト演奏家と私が考える上原ひろみさんも器用貧乏に終わる可能性が大きい。

追記

マンガやアニメの世界ではスタイリストと呼べる人がたくさんいる。要するに日本の音楽ではなくマンガ系が評価されるのは独自のスタイルを持ち世界に通用する人がいるからだろう。