何故、アップルは良質の音楽を提供しないのか?
2010.12.18

ここ1週間くらいで数曲の新作mp3をアップした。192kbpsの高音質で自作曲をアップして、それをサイトで書かないのは私くらいだろう(笑)。

最 新のmp3はSweet Jamaicaである。レゲエと言えばレゲエである。そう言えば、コンゴを代表する歌手の一人、エメネヤ・ケステールの名曲に"Jamaica"というの がある。KimpiatuからWabeloというエメネヤ黄金時代の名曲であり、個人的には20世紀最高の美しいコーラスを作りだしていると考える。とこ ろが、この名曲"Jamaica"をアップルはDL販売してないのだ。これには驚いた。何故なら私はKimpiatuからWabelo時代のエメネヤの音 楽を非常に高く評価しているからだ。

そこで以下の検索をグーグル英語版でしてみた:

検索ワード: emeneya kester kimpiatu jamaica

トッ プに出てきたのは大阪のあの人のサイトであり、2番目に出てきたのは愛媛のあの人のサイトで、3番目のサイトは欧州系政府の補助金で運営されているアフリ カ音楽サイトであり、4番目に出てきたのは前の文章で書いたビンセント・ラットマン氏のサイトである。それ以外は全てTorrentである。

これは正しい音楽のあり方なのだろうか?優れた音楽がアップルなどの極度の商業主義により全く配信されない。一方で、そうした優れた音楽はTorrentの違法コピーでは入手可能である。

あ る程度のコンゴ音楽ファンなら誰に聞いてもKimpiatu・Wabeloの2作がアフリカ音楽を代表する傑作であると答えるだろう。ところがアップルを 始めとした大手はこの2作からの曲を全く在庫していない。他方で明らかに違法であるTorrentでは、そうした名曲を聴くことができる。

私 は全ての責任はアップルの極度の商業主義にあると考える。彼らはエメネヤの名曲をDL販売しない。他方で、著作権違反であるもののTorrentではそう した名曲を聴くことができる。私はTorrentを利用したことは一度も無いが、この場合に限って言えば悪いのは合法的なDL販売をしないアップルやアマ ゾンである。実際、お金を払って買いたいという人は世界中にいるはずだ。ところが現実にはアップルがDL販売をしないためにTorrentでしか「優良音 楽」が入手できないのだ。

ここで責めるべきなのはTorrentではない。明らかにマージンの薄い曲を在庫しないアップルの商業主義であ る。ジャスラックなどは違法コピーを批難しているが現実問題としてアップルが優れた曲をDL販売しないのだから、そうした名曲を違法を承知で Torrentに流そうという人が現れるのは当然だ。しかも彼らは「法的リスク」を自ら負った上でTorrentに流しているのだ。

「い や、そうした曲を買いたいという人がほとんどいない」とアップルが答えるなら彼らは世界の多様な音楽文化を否定してLady Gagaのような売れ線で統一したいのだろう。それならそれで構わないのでアップルは世界の音楽文化の多様性には一切、興味ありませんとハッキリ言明して もらいたいものだ。

アップルは音楽を始めとした芸術には理解あるという幻想が、ただの幻想でしかなかったことが見事に証明されたと私は考える。で、私はTorrentを非難する人たちに言いたい:

オマエら、Torrentを非難する前にアップルの商業主義、金儲け優先主義を非難しろと・・・ 実際、エメネヤの曲を在庫する費用はわずかであり、それをあえてしないのはアップルが金儲け至上主義である以外の理由が無いからだ。

Torrentを非難する人々は明らかに順序を間違えている。まずアップルを徹底的に非難すべきだ・・・