|
マンガとアニメの終わりは近い 2010.12.21
引用
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news103.html
東
京都が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(青少年育成条例)の改正案をめぐり、ネット上では内容を危惧する声が高まっている。ア
ニメや漫画などに登場する18歳未満のキャラクターも「非実在青少年」と定義し、内容によって不健全図書指定も可能になっているなど、従来から踏み込んだ
内容になっている。議会での審議は近づいており、ネットではアクションが広がっている。
引用終わり
上の条例に関して2chなどでも様々な意見が出ている。私個人としては近親相姦や幼女への性行為を描いたものは好きになれない。だが私は元々、美術の良き理解者ではないので自分の考えが正しいかどうかは不明だ。
私
が危惧するのは、今のマンガやアニメが伝統的手法で勝負する勢いを失った結果として「過激表現」に走っているのではないかという点である。もし手塚治虫や
鳥山明的なマンガとアニメ手法がファン層を満足させることができるなら「過激な描写」をする必要がないだろう。もし伝統的マンガとアニメの手法がその魅力
を失った結果として「過激な描写」が広がっているなら、それはマンガとアニメが行き詰まっており終わりは近いことを意味する。
なお小説に関して言えば、石原慎太郎のチンポがどうがんばっても障子を突き破るだけの勢いを遙か昔に失っているように、1970年代には完璧に終わったと私は考えている。小説は相手にするだけ馬鹿らしいのでここでは触れない。
芸術には美術と音楽という大きな柱がある。20世紀は音楽の時代だった。その理由を見てみよう:
1.アフリカから連れてこられた黒人奴隷が南北アメリカで解放された
2.彼らが白人音楽(主にヨーロッパ音楽)を取り入れた自分たちの新しい音楽を作り出した
3.そうしたブルースやロックンロールは非常に魅力的だったために白人のみならずアジア人も含め世界中が模倣した
4.そこには大きく2つの文化的な蓄積があった。1つはヨーロッパ音楽(主にクラシック)であり、もう1つはアフリカの音楽文化だった。ヨーロッパ音楽はメロディー/ハーモニー面で優れており、アフリカ音楽はリズム面で優れていた。両者は相互補完関係にあった
5.残念ながらヨーロッパに蓄積された音楽文化もアフリカの音楽文化も有限であり、その組み合わせから生まれる新しい音楽(古くはブルース、サンバ、ルンバなど)も有限であった
6.1980−90年頃には、もはや魅力的な組み合わせは出尽くした。その為にグラム・ロックやパンク・ロック、あるいはワールド音楽のような「苦し紛れの組み合わせ」がもてはやされた
7.今、現在の時点では音楽に新しいものを作り出す力は全く無い。つまり芸術としての音楽はその可能性を出しつくした。
と
いうのが私の音楽認識である。私が自分の制作した楽曲をmp3で無料配布しているのも「自分が何ら創造的な行為をやっていない」という認識が根底にあるか
らだ。もし自分が創造的な行為をやってると思うなら私はmp3の「無料配布」はしない。同じ視点でマンガとアニメを見てみよう。
1.ヨーロッパにおける美術とアメリカにおけるディズニーやハリウッド映画などの膨大な芸術的な文化の蓄積が西欧にあった
2.日本においても鳥獣戯画から始まる非常に長い独自美術の蓄積があった
3.敗戦後の日本社会アメリカナイゼーションにより、西欧的な美術の蓄積と日本の美術の蓄積を大衆にアピールする形(=ポップス化)で表現する運動が始まった。それがマンガとアニメである
4.ここにおいて2つの大きなソースがあった。西欧美術文化の蓄積と日本美術文化の蓄積である
5.両者とも2000年近い蓄積を誇ったために様々な新しい表現が生まれた。それは音楽で言えば、ブルースがジャズになりファンクになりクラブ音楽になったことに匹敵する
6.残念ながら音楽同様に西欧美術の蓄積も日本美術の蓄積も有限であり、その組み合わせはすでに出尽くした
7.今、「過激表現」が流行っているのは有効な組み合わせが出尽くしたための苦し紛れである
8.従って音楽が現在、何ら創造的行為を行えなくなったようにマンガやアニメもすぐに何ら創造的なものを生み出すことができなくなるだろう
9.世界を見回しても2000年にわたる美術文化のとぎれる事のない蓄積を行ってきたのは西欧と日本だけだ
10.よってマンガとアニメが終わったら美術の可能性も全て出尽くしたと考えていいだろう
11.音楽はすでに「死んでいる」から美術が死ぬことにより芸術は大きな停滞期に入る
た
だ芸術が何ら創造的行為を行えなかったとしても困る理由は特に無い。現に音楽を全く聴かず社会人としてまっとうに生きている人たちはたくさんいる。マンガ
にもアニメにも全く関心がないが普通に社会生活を送っている人もたくさんいる。それは人生におけるスパイスが少し減るというだけだ。
ここら辺りが真相だろうと私は考える。
| | | |