造反有理を考える
2011.04.13

理由は不明だが私がいた頃の朝日新聞名古屋本社では地元枠があった。何故か一定割合を地元愛知/名古屋で採用することになっていた。一方で東京や大阪本社ではそうした慣行は無かった。

朝 日では朝礼は無いのだが、希にそれに近いことが行われた。その当時の局長は上に書いた地元枠で採用された人だったが口癖のように「最近の新人はなってな い」と言った。光栄なことにわざわざ私の名前を出して「特に竹本、オマエは注意するように」と言われた。だが、こういう場で指名されても指名料がつく訳で も無し、私としては答えようが無かった。いずれにせよ「根性が腐っている、性格がひねくれている、顔が不細工」という指摘は入社前の学生時代から何度もさ れたので私はたいして気にしなかった。

(会社を辞めて数年後に元同僚に訊いたら人事体系が変わり地元枠は無くなったという。その理由は私 が社長に内容証明郵便で送りつけた辞表の中でそうした地元枠採用者による不正経理の事例を書いたからだという。もし、それが事実なら私が辞めることで朝日 新聞の体質が少し改善されたことになる)

私は今、55歳であり、そろそろ「最近の若者はなってない」という主張をしても良い年齢になってきた。残念なことに、なってないのは最近の老人であり、最近の若者はむしろ健気に頑張っているように私には見える。今回は、この件に関して書いてみたい。

最大の問題はもちろん富の再分配だ。今の老人年金層は払った額より多い年金を平然と受け取っている。他方で様々な年金問題がTVや新聞で報道されるのだが、それは何故か自分たちには関係ない問題で、無能な政府と働かない若者が悪いことになっている。

老 人達は「今の若者は暴力がひどい。道徳心が無い」と言う。だが労働争議という流血ざたを起こしていたのは正に今、80台の老人だ。それより下になると学生 運動で「造反有理」と口走り大学を含む公的施設を不法占拠/破壊し、暴動と大差ない「デモ」を行い、そして浅間山荘事件に見られたようにバイオレンス& セックスにふけった。

対して今の若者には安定した雇用が提供されてない。年金などの社会保障も不安定化している。そのなかで一部の若者が 乳幼児虐待などの犯罪を行っている。だが、これこそ造反有理だ。何故なら、彼らは日本社会の歪んだ社会構造により本来受ける資格のある様々な特権を奪われ ているからだ。そうした不満を解消する手段として暴力をふるうことこそ造反有理である。

他方で元祖造反有理組、つまり今の民主党幹部連中 の頃、日本は高度成長期にあり、中卒が金の卵と呼ばれた。つまり「彼ら」が造反することには全く理由が無かった。造反無理である。そうした恵まれた環境の なかでバイオレンス&セックスをフルに楽しんだ人々が、今の日本社会の歪みに直撃されている若者に造反有理があることが理解できないのだ。何故、理解でき ないのか?

これは簡単で造反有理というのはマルクス主義思想に裏付けられた行動にのみ適用される考え方だからだ。ここまでエゴセントリックな日本の老人をまだ厚遇しなければいけない理由は一体、何なのか?私には全く思いつかない。