打開策パート2
2011.06.17

パート1で電子書籍を考えてみようと書いたら、ちょうど池田信夫氏のTwitterでセミナー告知がされていた。

http://agora-web.jp/archives/1345328.html

アゴラ電子書籍セミナーという名前がついている。受講料は5万円。場所が東京限定なのが痛いが、いくら待っても宇部で開催してくれそうにないので仕方ないだろう。講師は田代真人という人らしい。

この田代氏が元朝日新聞社員なのだ。どうも新聞組み版システム開発要員として採用された人のようだ。つまり文章力とか添削力という編集者としての能力は期待できそうにない。純粋に電子書籍を理系視線で語るのだろう。

何回も書いているが、大手出版社の良いところは優秀な編集者がいて自分の文章を直してくれる点にある。翻訳もそうだが、自分一人の作業にはどうしても限界がある。複数のチェッカーを入れたほうが良いのは自明だ。

そういう意味では田代氏の編集能力に期待できないのは残念だ。大体、朝日新聞記者にしたところで定型化したひな形通りの記事を書く能力は優れていても、独自コンテンツを書けない人のほうが圧倒的に多いように思う。

こ のアゴラブックスの欠点は、つまるところ自費出版にすぎないに尽きる。彼らが私のコンテンツを買い取る訳でも前払い金を払う訳でもない。売れる保証もなけ れば、役に立つノウハウが得られるかも疑問だ。お金を生まないなら、このサイトにSEO対策をしても同じだ。結局、ネット利用者しか読まないからだ。

さ らにアゴラブックスから本を出して、池田信夫氏や田原総一郎氏を皮肉る文章を書くのも仁義に反するような気がする。アゴラブックスにそれだけの度量がある のかも疑問だ。ここは豹変して「財政危機を避けるために今すぐ消費税を15%にアップせよ」とか主張して笑いものになる代わりに財務省から「補助金」をも らうのも手だが(←我ながら正直だな)。

さらに売れもしない電子書籍を書くために、自分の個人情報をあらいざらい売り飛ばすのも馬鹿げている。作家と言えば聞こえは良いが、要するに個人情報付き文章を売るのだ。端的に言えば売文家である。これはただの音痴歌手をアーティストと呼ぶのに良く似ている。

売 れたら売れたで問題がおきる。ビジネスなのだから担当編集者と打ち合わせをしない訳にはいかない。どこかで飲んでいる時に、偶然隣にいる朝日の記者を紹介 されて無視する訳にもいかないだろう。そうするとパーソナルな関係ができる。朝日の悪口を書きにくくなる。その内に、何か短い文章の依頼が来て「これぐら いは良いだろう」と思って書いていると、いつのまにか朝日新聞系作家とレッテルを貼られるかも知れない。

作家というのは文章を売る人に過ぎない。そして市場では買い手のほうが圧倒的に強い。従ってプロの作家になるなら、いつかは変節せざるをえない。それなら、やはりこのサイトにSEO対策をしたほうが良いことになる。

私は作家になることも本が売れることも特に名誉と思わない。ベストセラーになりお金が入ることは大きな意味があると思うのだが。なかなか難しい(笑)。

追記

恐らく、一番の問題は私が自分の文章より音楽を売りたいという点にある。他人の評価がどうであろうと、儲からなくても私は音楽制作をしたいのだ。