憲法9条の会への素朴な疑問
2011.07.01

今 日、農協に野菜を買いにいったら包装紙用にしんぶん赤旗がおかれているのを見つけた。1面トップ見出しに「九条の会、発足7周年、記念講演会」とあった。 興味をもった私は持って帰ることにした。元々、買った野菜の梱包用紙である。そして私は野菜(キューリ2袋)を買った。何ら違法性は無い。

まず、この記事は2011年6月5日の分であり相当に古い。だが9条の会に関して知るには十分に新しいと考える。

記事はノーベル文学賞受賞者である大江健三郎氏の講演内容の引用から始まる。赤旗の記事がそもそも講演の要旨なのだがさらにまとめてみた:

1.日本で原子力基本法が成立した1955年には第5福竜丸事件があった

2.平和憲法のもとで原発を作らせないという動きがあったことに留意すべき

3.福島原発事故で人々が死の恐怖に脅かされている中、あらゆる手段を使い平和を求めるべきだ

4.上記の決意に反対する動きにはNoをつきつけろ

この4点からなる。この主張は支離滅裂だ。

元 々、私は新聞を読まずTVも見ない人間なので9条の会がどういう存在なのかも良く知らなかった。2chで得た情報を参考にすると「オマエ達は平和のありが たさがわからないのか!」と叫びながら無辜の通行人に鉄パイプをふるうカルト集団だと思っていた。だが赤旗の記事を読むと少し(?)違うらしい。

いずれにせよ大江氏の主張は明らかに矛盾を内包している:

1.それほど憲法がありがたいなら中国のように憲法を定めてない国をまず非難したらどうか?

2.憲法9条と原発は何の関係もない、9条条文のどこに原発の記載があるのか?

3. 日本に平和憲法のもとで原発を作らせないという動きがあったかどうかは私には判断できない。だが平和憲法=原発無しなら、アメリカ、英国、フランスを始め とした核兵器と原発両方保有している西欧諸国は戦争憲法を持っていることになる。隣国である韓国も原発を保有している。なら、そうした戦争憲法を持つ国々を説得することから始めるのが筋では ないだろうか?

4.福島原発事故と憲法9条との関連が理解できない。私も含め日本国民は大江氏のようにノーベル賞を取るほど頭が良くないのだ。馬鹿にもわかるように関連性を具体的に解説してほしい。

5. 天才、大江氏が考える平和な社会=原発のない社会であるなら(赤旗の文面からはそうとしか解釈できなかった)、大江氏は何故、日本で活動をしているのか? アメリカ、フランス、中国が活動対象であるべきだ。そして新規原発を大量に建設し稼働させている中国は世界で最も好戦的な国だ。大江氏の考え方だとそうな る。

驚いた事に大江健三郎氏の意見はまだ理性的だった。私は以下の発言を読んで仰天した。

作家、澤地久枝氏「3月11日の揺れの中で初めに考えたのは、すべての原発を止める意思表示をすることだった」

澤地氏がどこで地震を体験したか知らないが、あの大きな揺れの中で最初に考えたことが「すべての原発を止める」ことだったという。ここまでカルト的な発言をするなら「我々の思いを法力にまとめて核分裂活動を止めてみせる」と言えば一層、受けただろうと私は思う(笑)。

哲学者、鶴見俊輔氏「広島と長崎に原爆を投下した米国の行為は科学を悪用しないというギリシャ以来の伝統を断ち切るものだった」

そ うなのか?日本も仁科氏を中心に核研究を戦時中、行っていた。また独逸の優れたミサイル技術がアメリカとソ連に評価され、それぞれに引き抜かれた科学者が 戦後、核弾道ミサイルを開発したと私は思っていた。何が科学の悪用か定義されてないが日本も独逸もアメリカやソ連と大差なかったと考える。大体、ギリシャ 時代に(当時の科学を)悪用しないと決めていたとしても、それが現在、どういう意味があるのだろうか?英国もアルゼンチンとのフォークランド紛争でハイテ ク・ミサイルを誇示したし、フランスはタヒチ近海で200回の核実験を行った。これらは鶴見氏の頭の中には存在しないのか?

結論を言えば、憲法9条の会中心人物の発言意味も意図も全く理解できなかった。

追記

私が朝日新聞で10年働いたというと時々、嫌みを言う人がいるが、上に書いたような人を相手にした訳です。少しは同情してください(笑)。