財務省の陰謀
2011.07.28

以 下の話は全て1つの仮説の上に成り立っている。その仮説は財務省にとり最も重要なのは日本国債(JGB)の安定であり、JGBの安定の為にいかなる犠牲も おしまないというものだ。この仮説は正しいかどうか不明だが、この文章そのものが思考の遊びであるのであまり大きな意味は無い。

まず指摘 しなければいけないのは財務省は債務不履行を気にかけている訳ではないという点だ。その証拠に、年金の支給開始年齢はどんどん高くなっている。これは明確 に債務不履行だ。例えば、年金支給開始年齢が95歳に設定されたら、全ての国民が財務省による債務不履行/契約不履行に気が付くだろう。何故、財務省は年 金における債務不履行を気にしてないのか?まず、先に掛け金を取っている。サラリーマンや公務員の場合は強制的に天引きされる。さらに年金支給対象は日本 国民だから外国人を一切、考慮する必要がない。

対して日本国債は94%を国内勢(ゆうちょ+民間銀行)が保有しているとはいえ、6%は外 国人が保有している。これは世界には多くの債権ファンドがあり、そうした債権ファンドは債権発行額におうじて債権を組み入れるためにJGBが魅力的かどう かに関係なく買う。そして、近年は円高なので恐らく為替差益が出ていると思う。

もし日本国債が(年金のように)100%日本国民対象な ら、財務省は気にかけないだろう。最悪、債務を踏み倒せば良いからだ。だが6%を外国人が保有しており、さらにJGBの格付け(ソブリン格付け)を格付け 会社が行っているために財務省としては、日本国債は何としても安定させたい(と私は考える)。

では財務省は何をすれば良いだろう?日本国 債を金融商品として魅力無いものにすれば良い。幾つか手法がある。1つは日本の景気回復阻止である。日本の景気が回復して資金需要が出てきて、多くの投資 信託が債権ではなく株式の組み込み比率を上げるなら、JGBは売られ、(長期)金利は上昇するだろう。さらに好景気の時はインフレだから国債金利はインフ レ分、かさ上げされる。

そうすると外国人投資家にとりJGBが魅力的な商品になる。外国ファンドが積極的にJGBを買う。彼らはドル換算 で見ているので、為替変動に応じてJGBが買われたり売られたりする。要するに財務省の管理がきかなくなる。これを防ぐためにはどうしたら良いか?景気を 回復させなければ良いのだ。増税をして景気回復の腰をおれば良い。

同様に日銀が国債買い切りをするのも望ましくない。何故なら国債買い切 りをするとマネー・サプライが増えるので、インフレに向かう。そうすると名目金利が上がる。日本に住んでいれば実質金利(インフレ/デフレ率をおりこんだ 金利)が意味があるのだが外国ファンドにとっては名目金利が高いほうが重要だ。何故なら為替変動が無ければ、より高いリターン(収益)が上がるからだ。

さらに為替が円高になると輸出企業が国内の工場をすてて海外に出て行く。そうすると日本国内は不況になる。不況になると、貸出先の無い銀行がJGBを買う。

もし財務省の最優先課題が日本国債の安定管理であるなら以下の状況は望ましい:

1.国内の不況
2.デフレ
3.円高
4.マネー・サプライの小さな変動(日銀の大規模国債買い切りはマネー・サプライを増加させる)

上に書いた4つの条件は今の日本経済に全てあてはまっている。ということは最初に書いた、財務省の最優先課題は「日本国債の安定管理である」という仮定は正しいのかも知れない。

そ んな馬鹿なとアナタは思われるかも知れない。だが、バブル崩壊以降、日本が20年にわたり、不況とデフレに苦しんできたのは事実だ。デフレに関して言えば マネー・サプライを増やしていけば、どこかでインフレになるはずだ。極論を言えば、通貨の信任を失うまでお札を刷れば必ずインフレになる。だが過去20年 一度もインフレにならなかったのも事実だ。

その理由は何なんだろうか?