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権利と義務をオプション取引として見る 2011.08.08
オ
プションはデリバティブ(金融派生商品)の1つである。オプションの取引ではオプションを売買する。これを英語でbuy/sellと言う。ここまでは普通
なのだが、sellの代わりにwriteが使われることもある。ちなみに英語ではオプションでの成立した売買のことをcontracts(契約)という。
つまりオプションを売るということは契約書を作成するという意味らしい。何故だろう?まず契約の意味を見る。
英語でのcontractの意味
http://www.thefreedictionary.com/contract 1. a. An agreement between two or more parties, especially one that is written and enforceable by law. See Synonyms at bargain. b. The writing or document containing such an agreement.
2.以下は省略。要するに2つ以上の当事者間での合意、特に書式にされ法律で強制されうるものである。でbargainを参照しろと書いてある。ではバーゲンはどういう意味か?
http://www.thefreedictionary.com/bargain
An agreement between parties fixing obligations that each promises to carry out. 履行すると約束した義務が守れない時に、当事者の間で義務に手加減を加えることに関する合意
へー、そーだったのか!バーゲンは安売りだと私は思っていた。まさか契約不履行に関する用語とは知らなかった。
ではオプションを売ることが何故、契約書を作成することになるのか?
引用
http://www.investopedia.com/articles/optioninvestor/03/073003.asp#axzz1VLRof1jq
When
individuals sell options, they effectively create a security that
didn't exist before. This is known as writing an option and explains
one of the main sources of options, since neither the associated
company nor the options exchange issues options.
引用終わり
ざっと訳すと、
個人がオプションを売る事は実質的に過去にない証券を創造することを意味する。これはオプションをwriteすると言われ、オプションの根源を説明している。株式を発行する主体あるいはオプション取引所がオプションを発行するのではないのだ。
最初からずいぶん難しくなったが、とりあえず
1)オプション売買は契約である 2)権利を買った人は条件があえば権利を行使できる(権利を行使しないことも可能) 3)オプションを売った人、つまり権利を売った人は履行すべき義務を背負う。この義務からは避けられない。その対価としてお金(プレミアムと呼ばれる)を受け取る。
と
いう風に私は要約することにした。つまり権利と義務が表裏一体の関係にあるのではなく、権利とは売買するものであり権利を売った人が義務を課せられるの
だ。これは、ある意味では憲法および法律における様々な権利と義務の関係に似ている部分がある。そこで、この文章では法律での権利と義務をオプションにお
ける買いと売り相当と見なし、従来とは異なる権利と義務の関係の説明を試みることにする。なおオプション取引の概念を法律に当てはめることは妥当かも知れ
ない。妥当でないかも知れない。妥当で無ければ何らかの矛盾が出てくると考える。
引用
http://www.annie.ne.jp/~schim/ultima_ratio/joubun/kenpo/03.html 第十条 【 日本国民の要件 】 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。 第十一条 【 基本的人権の享有と本質 】 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 引用終わり
まず日本の憲法が保障するのは日本国民の人権である。そして日本国民に基本的人権が与えられる。
人
権は当然ながら、一連の権利である。これが日本国民に与えられる。ここまでは憲法に書いてある。だが無料で与えられるとは書いてない。もし、将来、税金な
どの形で与えた権利の価格(プレミアム)を回収すると考えれば、国民は国から権利を分割払い、あるいは出世払いで買ったと考えられる。で、権利を売るの
は、つまり義務を負うのは誰か?これは憲法には書いてない。
ここで国が国民に権利を売り国に義務が生じたとする。国は日本国民そのもので
はないが、国民を代表する機関だ。そうすると同じ機関である国が国民に権利を売り、同時に国民の代表として集合的な権利を保有していることになる。これは
両建てだ。それはまるでA株を1000円で買い、1020円で空売りしたようなものだ。つまり、どれだけA株が変動しても利益は20円である。この例えが
わかりにくければ、国民一人頭の借金が800万円になりましたという財務省のレトリックを想起されたい。実際には国民が国にお金を貸しているのだが、国は
国民の総体であると考えれば(ry
しかし私は疑問に思うのだが、憲法の権利と義務を定めたしょっぱなの部分に人権が書いてあるということ
は日本の法律や条令、行政措置は全て、人権を完全に履行するように作成されているのではないだろうか?今、人権擁護法案が話題になっているが、それは現行
の法体系に欠陥があると主張しているのだろうか?しかし日本国憲法が制定されてから相当な年月が経つのだが、何故、今になって「日本の法体系の欠陥」が問
題にされるのだろう?
そして人権擁護法案に出てくる人権にも疑問を持つのだ。人権を保有している(人権という権利を買った人々。日本国憲法は日本国民と定めている)が権利を行使するのはかまわないとして、では誰が人権を売りながら義務を果たさないのだろう?
最
初に述べたように、この文章は権利の買い手には権利を行使する権利があり、権利を売った人に権利が行使されたさいに、対応する義務があると想定している。
で、誰が日本国民の人権を売ったのかである。それは(日本国民および日本の組織)+(外国人と外国組織)であろう。注意していただきたいが日本国憲法は、
人権は日本国民の権利であり譲渡できないとしている。従って、人権という権利を買い保有しているのは「日本人」だけだ。
対して人権を売る
という行為は国籍に関係なく誰でも売ることができる。ここでは人権を売る=人権侵害とする。であるならば、いかなる形での人権擁護も(不埒な日本人+外国
人)から日本人の譲渡できない基本的権利を守ることになる(権利行使の保証)。それは人権を売った人々に義務を履行させることを意味する(刑事・民事での
刑罰)。これが人権擁護法案の主旨なのだろうか?
ここでの1つの反論は国際法の存在である。国際法に定めた人権を擁護しろという主張な
ら、まだ理解できなくもない。だが国際法に定めた人権は国際法批准国国民が保有する。つまり日欧米は国際法人権を買ったのだが、その権利を行使した時に売
り手が義務を履行するという保証はない。これは中国国内の状況を見れば簡単にわかる。またアフリカ諸国など批准してない多くの国はどうなるのだろう?また
北朝鮮のように法治国家でない場合はどうなるのだろう?要するに国際法での人権は不確かな要素が非常に多いのだ。
私の個人的な意見を言えば、国際法に基づく権利行使は早すぎると考える。何故なら、権利を行使しても相手(カウンターパート)が義務を履行する保証が全くないからだ。
権利はお金を払って買うものであり、権利を売る者は必ず履行しなければいけない義務を負う。このオプション取引での概念は法律に老いてかなり有効だと私は思うのだが。
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