日本は戦争ができる国になれるのか?
2011.10.22

先日、以下の記事を日経紙面で見た。

引用

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海外企業や外国政府による円建て債券(サムライ債)の発行が増えている。サムライ債の今年の発行件数は64件に達し ... 欧米の金融市場で投資家のリスク回避が強まるなか、日本市場で資金調達する動きが広がっている。 調査会社のトムソン・ロイターによる ...

引用終わり

このサムライ債を買うのは日本人投資家だから、日本が世界にお金を貸し付ける状態に今、ある。そして将来、日本は世界に資金を貸し出す主体にならざるをえないと考える。

ところが、お金を貸すにはお金を回収する「力」が必要になる。これから日本は世界を相手にお金を貸し出すことになるのだ。

例 えばタイの洪水に対する融資などである。しかし世界の国々は決してタイのように礼儀正しいわけではなく、わかりやすく言えば日本の民主党を3倍悪辣にした レベルの国が普通にある。そこで、貸したお金を必ず回収するには軍事力、極端な場合は戦争が必要となる。果たして日本は戦争ができる国になれるのだろう か?

(回収できなければ、次の融資ができないから世界は信用収縮の果てしない負の連鎖におちいる)

世界にお金を貸さないことも可能だが(要するに鎖国)、その場合、世界は窮乏し日本もその連鎖に巻き込まれてしまう。従って合理的な選択としては、日本は世界を相手にお金を貸し、その回収に武力も辞さない国にならざるをえない。

なお核兵器に関して私は昔から懐疑的だ。何故なら日本に核兵器を開発する能力はあるが実験をする場所が無いからだ。それなら他国からシステム毎、買ったほうがよほど良い。例えば原子力潜水艦や空母、数隻である。

ど こが売るか?アメリカだろう。アメリカは自分たちの市場が信用収縮に陥っている上に、ドルを刷りすぎた。今はともかく、どこかでドルの回収に向かうはずで あり、そうした緊縮財政の下では、莫大な維持費がかかる軍事装備を日本に売り、日本に軍事作戦を行わせたほうが望ましいからだ。

と言うのが、現状での私の認識だ。これに関連して色々な事柄を思い出すのだ。

1) 明治維新が成功したのは、大名にお金を貸していた大坂商人が武力を持っておらず、徹底的に貸し手責任を問う形での不良債権処理が可能だったからだと私は考 える。これは刀狩りをはじめた秀吉の「知恵のたまもの」だ。同時に教訓もある。お金を貸す人は「回収手段」を持つべきだ。明らかに大坂商人は、この点を配 慮しなかった。結果として貸したお金を踏み倒された

2)日本がお金を貸さないなら、世界が停滞、衰退する。そこまで逼迫しているならお金をかすべきだ。過去とは違うのだ。

そこで

大前研一 アイスランド 金融立国

で検索すると自分の書いた文章がトップに出てきた。正直、自分の文章をあまり引用したくないのだが

引用

経済評論家は嘘を言っても罰せられないのか - viewwww.afrobossa.sakura.ne.jp/view/view295.html - キャッシュ

大前研一氏は日本はアイスランドのような金融立国を目指せと書かれたがそのアイス ランドは実質、国家破産に陥りIMF融資で生き延びている。日本の政治家が大前研一氏の意見を無視したお陰で、我々は安泰な生活を送ることができる。素直に自民党と官僚 ...

引用終わり

何故、私は過去には日本は金融立国すべきでないと書き、今回は日本は世界に金を貸し出せと主張するのか?金のためなら、簡単に自説を曲げるのか?残念ながら、誰も私に「資金提供」してくれないのが実情である(笑)。

大前氏が主張していた頃に日本が国富ファンドを作り、世界に投資していたなら、今の壮絶な信用収縮に巻き込まれ、日本を含め世界沈没となった。つまり金融危機に日本も巻き込まれた。

ところが、これから金融に関する限り「日本以外世界沈没」が現実になるなら、これは国家の義務としてお金を貸し出し、世界を支えねばならないだろう。つまり今回は日本しか貸し手が無いのだ。

3) アメリカは不愉快に思い、そうした日本の行為を妨害にかかるだろうか?しかし、どう考えてもアメリカはドルを刷りすぎた。従って、一度は流通しているドル を減らさざるをえないだろう。その過程での信用収縮の分は誰かが肩代わりしなければいけない。現状、日本しかないのだから、アメリカは日本にアドバイスす る立場にまわると私は考える。

こういう主張をすると財務省辺りが「赤ちゃんもふくめた日本人一人頭の借金は800万円にのぼり、GDPの2倍近いウンタラカンタラ」と主張するだろう。だが世界が信用収縮に陥ればお金を貸さざるをえないのだ。日本の義務だ。

そして日本円の幾分かは外貨準備として保有されるだろう。最新の情報を確認してないのだが、アメリカも外貨準備を持っている。1位が金、2位がドイツ国債と日本国債である。従って日本円が外貨準備として保有されてもおかしくないことをアメリカの行動自体が示している。

(もし諸外国が日本円を外貨準備として保有すると、その分は日銀印刷の紙切れで貴重な資源が買えたことになる。これは日本の政府債務を実質、減らす。そしてユーロの解体がおきるなら、代わって保有すべき外貨は円しかない)

世 界でお金が回らなくなっても有能な人材はいる。また必要なプロジェクトもある。日本がお金を貸し付けるとして、それの目利き・優先順位がつけられるのだろ うか?そして最初の問題に戻るのだが、日本はお金を回収するために武力行使を行う国になれるだろうか?これは大変な問題だ。

もし、できなければ「日本もふくめ世界沈没」になるかも知れない。

追記

しかし前回の世界恐慌から100年も経たないのにまた「世界恐慌」に陥るなら、それは世界のあり方が根本的におかしいことになる。何故、我々は繰り返し「過ち」をおかすのか?

私が元新聞社社員として言えば、新聞とTVが結託して国民をだますからとなる。しかし問題の根っこはもっと深いように思える。3回目がおきないように「維持可能な体制」を作れるのだろうか?

いずれにせよメディアも含めた情報のあり方を真剣に見直さない限り、過ちは何度でも繰り返されると私は考えるのだ。