ギター・ピッキングを考える
2011.11.07

ギ ターにおいて最も一般的なピックの使い方はオルタネート・ピッキングである。このピック奏法では、ダウンとアップを繰り返すことにより、正確で早い演奏が 可能になる。多くのギター奏者がそう主張している。例えばアル・ディメオラだ。ディメオラはオルタネート以外は使うべきでないとまで主張している。ソース は英語wiki

引用

http://en.wikipedia.org/wiki/Alternate_picking

Despite some of the well-known disadvantages of the technique, some guitarists (such as Al Di Meola, Steve Morse) emphasize the near-exclusive use of alternate picking, even in situations where another technique would be easier, claiming that pure alternate picking leads to a more consistent sound and allows for greater control of tone.

(こ の技法には幾つか良く知られた欠点があるのだが、ギター奏者のなかには他の技法を使用したほうが容易な状況でも、オルタネートだけを使うことを強調する。 アル・ディメオラとかスティーブ・モースがそうだ。彼らの主張によると、オルタネートだけを使用することによりサウンドがより一貫したものになり音色をよ り幅広く制御できるからだという)

注: 他の技法を使用したほうが簡単な状況とは恐らくスイープを使うべき場面だろう。スイープとはアップ・ピッキングだけで演奏する技法だ

引用終わり

ではオルタネート以前はどうだったかというと全部あるいはほとんどをダウン・ピッキングで演奏していた。今でもヘビメタ系のギタリストのなかにはそうする人もいる。

ここで私が紹介するのはそうした物とは違う。

2005年頃の2chのYouTube板でのことだった。優れた音楽動画を挙げていこうという良いスレがあった。何故、良いスレかというとスレ参加者に楽器演奏者が多く、勘違いした指摘は晒しあげられたからだ。

ある日のYouTube板でデビッド・T・ウォーカーの動画が上がっていた。下の動画である。

http://www.youtube.com/watch?v=qCyRPCojb2Q

David T Walker & Bernard Purdie What's going on

1分20秒あたりで顕著なのだが、彼はアップ、ダウンを繰り返している。それはつまりオルタネート・ピッキングの正反対である。「いや、それを含めてスイープなんだ」と言う主張は取りあえず、この文章では無視する。

私は、こうしたピッキング奏法をリバース・オルタネート・ピッキングと呼んでいたが、自分以外の人がこのスタイルで演奏するのを見るのははじめてだった。私はスレッドに「この人はアップからピッキングを始めている」と書き込んだ。

ちょうどプロがいたらしく「全てでは無いがアップから始めるピッキングを確かにやってる。面白い指摘だ。少し練習してみる」という返事が書き込まれた。残念ながら2chの性格上、それ以上のコミュニケーションは無理だった。

と ころで私は毎日、KVRaudioという世界最大の音楽制作者フォーラム記事を読んでいる。日本語のフォーラムより勉強になるからだ。このフォーラムで、 私がリバース・オルタネート・ピッキングと呼んだのはバック・ピッキングという名前で古くから知られ演奏されていたことを知った。

引用

http://www.kvraudio.com/forum/viewtopic.php?p=4713873

jancivil
Posted: Thu Nov 03, 2011 6:03 pm reply with quote
 
at the beginning? heheh.

At one time I could do it tho. I was a classical guitarist and I could do index/middle finger and cut some fast things as it was required of me, but I didn't really get as comfortable with a pick. On the electric I rely on a lot of slurs... I don't really care for fast picking all the time from players. I like legato, like a horn. But I'm an outlier probably.

I can offer this much, the approach we used to call 'backpicking' was the way to go. upstroke first and an attack that facilliates was preferable.

引用終わり

簡単に訳すと

「オレはクラシッ クのギター奏者で、人差し指と中指を使って早弾きをすることもできる。でもピックは好きになれないな。電気ギターを弾くときはスラー(スライドのこと)を 多用するんだ。早弾きはいつ聞いても楽しいというものじゃないし。管楽器のようなレガート奏法が好きなんだ。だがオレはよそ者なんだろう。

オレに言えることは、昔、バック・ピッキングと呼んでたアプローチを選んだ方が良い。まずアップで弾くんだ。そうするとアタックが良い感じになる」

この人はKVRの登録会員だし、名前も出しているので主張は信じても良いだろう。

要 するに、アップ・ダウンを繰り返すピッキング・スタイルは昔から存在し演奏されたのだ。ただ広まってないところを見ると、あまり聴衆に受けないのだろう。 何故かというと、上の人が書いているように管楽器のように音をのばしてメロディーなどを弾くときに一番、有効な奏法だからだ。

という訳で積年の疑問がやっと解けた。私が主張していたリバース・オルタネート・ピッキングは名前こそ異なるが、世界中のギタリストが普通に使用してきたのだ。

(何故、このピッキングが望ましいのか?理由はリズム解釈と関係するのだが、ここではそれ以上の説明はしない)

追記 

アッ プからはじめるピッキングは難しい。それは人間が右足から歩き始めるようにダウンのピッキングから始めるのが自然だからだ。結果として、ミスがおきる。か すれた弱い音が生まれる。しかし一流ギタリストであるDavid T Walkerのギター演奏ですら、そうした「かすれ」があるのだから気にする必要はないだろう。

では何故、そこまでして不自然なピック奏法をするのか?リズム・ニュアンスを生むためだ。