時間差バタフライの優位
2011.12.06

時間差バタフライとは何か?期先にITMの買いを作る。期近でATMを2枚売り、OTMを1枚買う戦略である。具体的には以下のようなポジションだ。

日経平均は8600円と仮定(現時点での値)

1月 コール@8500 1枚買い
12月 コール@8750 2枚売り
12月 コール@9000 1枚買い

通常のロング・バタフライでは

12月 コール@8500 1枚買い
12月 コール@8750 2枚売り
12月 コール@9000 1枚買い

と なる。何故、わざわざ期先を買っているのか?大体、Lバタフライはデビット(支払い金額)が少ないほど良い。時間差バタフライではわざわざ期先を買うこと で、このデビットを大きくしている。一見すると不合理な意味のないポジションに見える。そこで日経平均がポジションを作った後、どう動くかを考えてみる。

1)動かない

これは理想的だ。何故なら12月の売りと買いの両方がゼロになるからだ。この時、期先の買い(1月コール@8500)もθの働きで価値を失っている。要するに安くなっている。だが、「売り」がゼロになることが生み出す利益との比較すると全体では利益を生み出す。

2)日経平均が上がる

これも悪くない。何故なら、期近の「売り」はいずれ時間的価値ゼロになり全て本質的価値で置き換えられる。対して期先の買いはDITMにならないかぎり10万円程度の時間的価値を保っている。従って最初に

1月 コール@8500 1枚買い
12月 コール@8750 2枚売り
12月 コール@9000 1枚買い

という時間差バタフライを作成した時のデビットが10万円以下なら利益が出る。そしてITMの買いが残る。
(ここでは十分な流動性があると仮定している)

3)日経平均が下がる

この場合は損が出る。だが、その損は最初から決まっている。何故なら時間差(限月の違い)をつけているとは言え、ロング・バタフライであることに変わりはないからだ。

通常の状況であれば、期近の「売り」(正確には売り2枚と買い1枚の複合ポジション)のほうが価値を大きく失う。何故なら期先は清算日が先なので、まだ変動する可能性が残っているからだ。

この時間差ロング・バタフライの優れている点は、原資産(この場合は日経平均)が上がるか動かない場合には利益が出る点だ。さらに下がっても損失は限定されている。

ここで日経平均がランダム・ウオークをすると仮定する。そうすると上がる確率は33%、ほぼ動かない確立は33%、下がる確率は33%である。

もちろんトレンドがあるなら、それを利用すると、より大きな利益を生む。

いずれにせよ、時間差バタフライは確立的に利益を生み出すことが保証されているのだ。
(原資産がランダム・ウオークをするという仮定をおいている)

追記

このポジションの一番優れている点は一度、作成したら後は何もしなくて良い点だ。日経平均が暴落しようが暴騰しようが全く動かない状態になろうが確率的に利益が出る。精神面での負担がゼロだ。難点は考え方が難しい、流動性不足だろう。