インフレ期待先物を考える
2011.12.16

インフレ期待先物がただの夢物語と思われるのは嫌なので、現実に存在する日経平均先物とオプションにならって「構築」してみる。

1.原資産は物価を構成する225の品目とする

2.例えば、肉、キャベツや大根、ガソリン代、電気代、NHK受信料、国民年金などである

3.日経平均同様に3ヶ月を1つの区切りとして毎月の分を当限月とする

4.SQ日に必ず清算する。ただし取引主体がロールオーバーをするのは自由だ

5.清算価格は、最初に書いた225品目のSQ日に最も近い時点での値段の加重平均を所定計算式に入れて出すとする

6.オプションに関しては物価変動ゼロを5000円とする。

7.行使価格は250円刻みとする

8.1つの行使価格が0.1%の物価変動を表すとする

9.従って、5250円のコールを買うことは、清算日での物価が現在より0.1%上昇していることを期待している

10.そうした価格は市場参加者が持つインフレ期待にほかならない

11.もしインフレになると予測するならコールを買えばよい。予測通りインフレになれば、あなたに利益をもたらし、インフレ・ヘッジとして機能する

12.上限がないのでハイパーインフレにも対応できる

これだけの代物である。別に難しい点はない。このインフレ期待先物・オプションはどのような利益をもたらすか?

1.物価変動に対するヘッジが誰でもできるようになる

2.市場が日々、示唆する「将来の物価動向」がわかる

3.インフレやデフレに関して一般庶民レベルで理解が深まる

私はインフレ期待先物は非常に優れた金融派生商品だと思う。何故なら、現在の時点でインフレないしはデフレ・ヘッジとして特化した商品が市場に1つもないからだ。

だが現実に認可されているのは下のような商品だ。

引用

外為オプションは10分後の為替が一定のレンジ内で「円高か円安」どちらになるかを予想するシンプルな金融商品です。今の相場の流れが10分後にどうなっているのか、さまざまな情報をもとに予想してください。

引用終わり

業者によっては5分後の為替で清算される。これは競馬や競輪とどこが違うのか?5分や10分という短い時間内ならランダムな動きをすると考えるのが妥当だろう。つまり私の意見では博打である。

そこで公営博打の所轄官庁を見る。

引用

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%AD%E5%8D%9A

日 本における公営ギャンブルは、大別して公営競技と公営くじの2つに分類できる。なお、「公営ギャンブル」といえば広義ではこの2つを指すが、狭義では公営 競技のみを指す。それぞれ監督官庁があり、税収の一部となっている。これ以外にも財源難に苦しむ地方自治体を中心に、特別法の制定による公営カジノの設置 を求める動きがみられる

それぞれの監督官庁

競馬:農林水産省
競艇:国土交通省
競輪:経済産業省
オートレース:経済産業省
スポーツ振興くじ:文部科学省
宝くじ:総務省
 
引用終わり

上の公営博打所轄官庁に財務省や日銀が無い。これは事実だ。一方でFX業者に多くの日銀官僚が天下りをしている。

(日銀は上場企業だが、その性格から、ここでは官庁と見なしている)

引用

上田ハーロー株式会社(Ueda Harlow Ltd.)

代表取締役社長 木村直之

1964年日本銀行入行、考査局、外国局などに勤務。この間、83〜85年には為替課長として市場介入操作を指揮。1986年上田ハーロー入社。スポット、デリバティブ部門統括を経て2003年現職。

セントラル短資FX株式会社

代表取締役社長 松本 一榮

こ のたび、セントラル短資オンライントレード株式会社 の社長に就任いたしました松本一 榮でございます。平素は、格別のご ... 一榮 経歴. 1968年, 日本銀行に入行、金融機関の考査やオフサイト・モニタリング、システム開発、企業調査等の仕事に25年間従事。 ...

引用終わり

FXをやらない私でも2つくらいはすぐに挙げられる。つまり日本の金融派生商品が認可されるかどうかは、それが社会にとり有益かどうかではなく、「官僚の天下り先になりうるか」で決められているようだ。

もし本当にそうであるなら非常に残念な話だ。