日本の人口ピラミッドを考える
2012.01.20
引用
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20120118-00341131-mosf-world
南アフリカ異民族研究所(SAIRR)は来週発表する出生調査で、2040年までに南アの出生率が人口交替率(総人口の維持に必要な出生率)を下回り、国の労働力を脅かす恐れがあると警告する。南アのニュースメディア、ビジネスデイが17日付で報じた。
出生率は1人の女性が一生のうちに産む子の平均数。1組のカップルが2人の子どもをもうけると2.0で総人口が維持されることになる。WHO(世界保健機関)の調べによれば2010年の南アの出生率は2.5で加盟193カ国中88番目だった。
引用終わり
南アフリカの出生率が2.0を割る予測が出た。アフリカの国と言っても南アフリカは異質なのだが、それでも2.0を割る予測に私は驚いた。そこで世界の出生率はどのようになっているのか確認してみようと考えた。
引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%90%88%E8%
A8%88%E7%89%B9%E6%AE%8A%E5%87%BA%E7%94%9F%E7%8E%87%E9%A0%86%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
国の合計特殊出生率順リスト
引用終わり
このリストを上から下まで眺めて私はある事実に気がついた。合計特殊出生率(以下、出生率と省略)が2.0以上の先進国はアメリカとNZだけなのだ。
アメリカ:2.09
ニュー・ジーランド:2.02
つまりアメリカとNZを除く世界の先進国の出生率は全て2.0以下なのだ。2.0以下と言うことは高齢化が進むということだ。
さらに良く見るとブラジルやキューバがすでに2.0を割っていることに気が付く。中国も割っている。
ブラジル:1.90
キューバ:1.50
ロシア:1.37
中国:1.77
こうした新興国は十分な社会資本の蓄積を為していない。いないにも関わらず既に人口の高齢化が始まっている。
サブプライムに始まる世界的な金融危機で、日本の経済状況は実はバブルを先取りしていただけであることに世界中の国々が気が付いた。そして、上記リストを見ると、人口の高齢化においても日本は先行例となっているようだ。
で は何故、日本人は異様に少子高齢化を念仏のように唱えるのか?理由は不明だが、1つの理由はアメリカが2.0をこえているからだろう。統計学においてもア メリカが進んでおり、人口統計もアメリカ人の視線で語られているようだ。だが特殊なのは日本ではなくアメリカなのだ。その証拠にブラジルすら1.90であ る。
http://www.google.co.jp/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=sp_dyn_tfrt_in&idim=country:
BRA&dl=ja&hl=ja&q=%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB%E5%87%BA%E7%94%9F%E7%8E%87#
ctype=l&strail=false&bcs=d&nselm=h&met_y=sp_dyn_tfrt_in&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=country&idim=
country:BRA:JPN&ifdim=country&hl=ja&dl=ja
上 記、グラフを見るとブラジルの出生率は一気に落ちている。1960年には6だったのが現在は1.9なのだ。ブラジルはカトリックの国であり、ある時期まで 堕胎はおろか離婚すら認められなかった。宗教が関係しているのか近代化が関係しているのかは不明だが、ブラジルの落ち込み方はものすごい。逆に日本の出生 率が非常に安定しているのがよくわかる。
では何故、ブラジル人は自国の少子高齢化を心配しないのか?日本より遙かに深刻な事態が待ち受けているような気がする。この理由は不明だ。
日本の人口ピラミッドを再度、眺めてみた。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z19.htm
確かに60代の団塊世代が大きくふくれ上がっている。だが、そこを過ぎれば人口ピラミッドはそれなりに安定したものになるのではないだろうか?
日本はアメリカとの比較ばかりをしているから少子高齢化が日本固有の大変な問題だと考える。そのアメリカですら2.0を割ってもおかしくない数値だ。
日本の場合、平均寿命の長さもまた「大きく歪んでいるという錯覚」を起こさせている。少子高齢化自体は世界の国々もやがて日本に続くのは間違いないだろう。そして日本も団塊の世代さえ「乗り切れば」世界で最初に少子高齢化を克服することになる。
つまり日本の少子高齢化問題は歪んだ切り口で語られていると私は考える。