生活保護議論に見た確率的恐怖
2012.05.28

片 山さつき参議院議員がTwitterでかなり叩かれている。河本準一の母親が生活保護を受けていた点に関して問題提起したのが「生活保護そのものを受けに くくするための方便であり、河本にどれだけの収入があろうと母親が生活できないなら生活保護支給は妥当だ」という反論がおきている。これに関して考えてみたい。

引用

http://jiji.com/jc/c?g=ent2_ent2&k=g120280

河本準一、母親の生活保護問題は「考えが甘かった」

お 笑いコンビ・次長課長の河本準一(37)が会見を開き、母親の生活保護費受給問題について語った。母親が最初に受給を受けたのは河本の年収が100万円に 満たなかった14〜15年前という。表舞台での活躍が増えた5〜6年前から一定額の仕送りを始め、今年に入り増額もしたが母親の受給は継続していた。今年 4月に一部週刊誌が匿名で報じたことで発覚し、母親が自ら受給の打ち切りを申請したという。河本は「いつ自分の仕事がなくなってもおかしくなく、不安だっ た」と胸の内を明かし、受給や自身の援助については「福祉事務所の方と話をして決めたことだった」と繰り返し説明。受給自体には問題なかったとの考えを表 明したが、「今思うと考えが甘かった」と反省の弁を述べた。過去数年分の受給金額については「きちんとお返ししたい」と返納の意向を示した。 出席者:河本準一 【動画はこちら】(2012/05/25)

引用終わり

誰でも生活保護が必要になる可能性がある、河本をたたくことで生活保護を受けることを難しくするなというのが片山さつき氏批判の根拠のようだ。

要するに、多くの人が「自分が生活保護を受ける可能性が十分あり、それを考えると元々、弱者救済システムだったものを厳格化するのはおかしい」と考えているらしい。これは私も同じで、自分の老後を考える時、生活保護を選ぶことも常に選択肢に入れている。

ここで私が問題にしたいのは人々が確率を無視して行動しているように見える点だ。

現在の生活保護受給者は

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2012/05/26/kiji/K20120526003327250.html

生活保護は資産や働く能力などすべて活用しても生活に困る人に対し、生存権を定めた憲法第25条に基づき、国が最低限の生活を保障する制度。戦後の混乱が尾を引く、1950年にスタートした。

収入が国の定めた最低生活費に満たない場合、最低生活費から収入を差し引いた差額が「保護費」として支給される。申請は都道府県や市が設置する福祉事務所で受け付け、生活状況や資産の調査などを行った上で支給額が決定する。

厚生労働省の試算では、地域により受給額は異なるが食費、光熱費などを負担する「生活扶助」が基本で、標準3世帯(33歳、29歳、4歳)で13万5680〜17万2170円。高齢者の単身世帯で6万2640〜8万820円となる。

申 請を受けた自治体は直系血族、兄弟姉妹などの3親等以内の親族全員に扶養照会を行い、受給開始後も毎年1回調査が行われる。今年2月現在の受給者は209 万7401人(152万世帯)で、2011年7月から過去最多を更新し続けている。国が支出する生活保護費は増加し、2012年度は約3・7兆円。13年 度には5・2兆円に膨らむ可能性がある。

受給者増加の背景には大震災と長引く不景気の影響がある。その一方、申請時に提出書類がないこと や調査に強制力はなく、本人や親類がうその回答をしても分からないことなどから、年金や収入の隠蔽(いんぺい)、実際には働けるのに健康状態を偽り申告、 偽名で複数の自治体から二重取りするなどといった「不正受給」の風潮が広まっていることが挙げられる。

[ 2012年5月26日 06:00 ]

引用終わり

上のスポニチ記事をソースとする。現在の受給者は209万人、これは日本の人口の約1.5%である。これは統合失調症の発症率とほぼ同じだ。

引用

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E7%97%87

日 本国政府には独自の診断・統計基準は無く、WHO国際疾病分類第10版(ICD-10)を用いており、当該マニュアルではF20になる。日本国において は、2002年(平成14年)まで精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)と呼ばれていた。発病率は全人口の約1%程度と推計されている。

日本国政府には独自の診断・統計基準は無く、
日本国政府には独自の診断・統計基準は無く、
日本国政府には独自の診断・統計基準は無く、
日本国政府には独自の診断・統計基準は無く、

引用終わり

統合失調症だけが重い精神病ではないのだが、議論を単純化するために第1級精神障害者=統合失調症患者とする。人口は130万人とする。4人家族とすると520万人の関係者がいる。

ここで日本の人口を1億3000万人と仮定する。

生活保護を受ける確率:200÷13000=1.5%
統合失調症で障害者年金を受ける確率: 1%

つまり、あなたや私が生活保護を受けるようになる確率と、統合失調症を発症して障害者年金を受けるようになる確率はほぼ同じだ。

私 はずっと、多くの精神障害者が、認定を受けることがさらなる差別を呼び込むことを恐れ、医師の診断書があっても障害者認定を受けないという日本の現実を書 いてきた。この場合、障害者の世話は全て家族の負担だ。ここで自分が統合失調症を発症する確率と自分がその世話をする家族になる確率は520÷13000 =4%とする。正確には違うのだが、4%としよう。あなたにとって4%というのは無視できる可能性ですか?

つまり、確率的に見ると生活保護を心配するなら統合失調症/精神障害者年金制度をもっと心配すべきだ。何故なら確率的にほぼ同じだからだ。家族として世話することを考えると数倍になるからだ。

では何故、このような不条理な行動が見られるのだろう?「ウチの家系には変なのはいないから心配しなくて良い」とでも思ってるのだろうか?だが遺伝と全く関係なく統合失調症を発症する人はたくさんいる。大体、ウチもそうだったのだ。

明るく成績学年トップのテニス部主将が発症するのを私は自分の目で見た。なお、この部分は誇張でも何でもない。中学3年間の成績が全て5で、中学2年からテニス部主将になったのは事実だからだ。