平成の大政翼賛会
パート7 LIBOR疑惑
LIBOR操作疑惑について書くのは難しい。何故なら、現時点で調査が進められている事柄だからだ。半年あるいは1年経てば、より正確で確実な文章が書け
るのがわかっているのに今、詳しく書く理由が無い。
とりあえず概略だけを引用する:
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K3C720120213
2012年 02月 13日 14:04 JST
英銀行協会、LIBORの定義など見直しへ 操作疑惑受け
欧米や日本の法執行機関がロンドン銀行間取引金利(LIBOR)など、銀行間の資金のやり取りで使われる金利の操作疑惑について調査を進める中、こうした
金利の先行きに不透明感が生じている。
匿名の関係筋によると、LIBORの算出方法を決めている英銀行協会(BBA)は、世界的な調査を受け、LIBORの使用法が目的にかなっているかどうか
を見直すため、コンサルタントと契約した。
現在、各種金融商品の指標として使われているLIBORの見直し次第では、推定360兆ドルの金融商品の価格決定にも影響が及ぶ可能性がある。同金利は引
き続き金融システムの中心にあり、法人向けローンや住宅ローンなど、幅広い分野の金利決定に使用されている。
BBAはロイターに対し、LIBORの設計と運用については継続的に見直しが行われており、独立した委員会などが精査していると指摘。「時にはこれらの機
関が評価の高い専門サービス会社と契約し、徹底的かつ最高水準の見直しが確実に行われるようにしている」と説明した。
金融危機が始まったころやその後に集中砲火を浴びた格付け会社のように、現在、LIBORには時代遅れとの指摘もあり、不信感を持つ向きも少なくない。だ
が一方で、代わりとなる、信頼に足る選択肢も限られている。
LIBORは1980年代に銀行間の資金のやり取りのコストを評価する目的で導入されたシステムで、BBAはLIBORがロンドンでのデリバティブ取引か
らシカゴでのコモディティー取引まで、あらゆる分野の指標として使われるようになるにつれ、懸念を深めていた。
仮にLIBORが故意に歪められていたり、操作されていたりしたことが判明した場合、疑いはLIBORを参照金利として使っていたすべての取引に及びかね
ない。 LIBORの決定方法に対する疑惑は、金融危機が最も深刻だった時期に浮上した。銀行同士が資金の貸し借りに極端に消極的になり、銀行間市場で資金が枯渇
した時期に、インターバンク市場の鏡であるはずのLIBORが比較的低い金利水準を保っていたからだ。
2008年3月には国際決済銀行(BIS)が、一部の銀行は借り入れコストの上昇を抑えるため、不正確なLIBORを提示しているのではないかとの疑問を呈した。
またその後、一部のケースでは、金利提示銀行が故意にバイアスのかかったクオートを提示したのではないかとの見解を示した。
関係筋は「BBAは調査の必要を認識した」と述べ、BBAが第1・四半期末ごろまでに結論を公表すると予想した。同筋は「BBAはLIBORの目的を定義
し、今後も使用したいなら自己責任で使うよう警告するだろう」と述べた。
各国の法執行機関は1年以上も前から、銀行がロンドンやその他の市場で共謀していたかどうか、あるいはトレーダーが内部情報を用いて利益を上げていたかど
うかを特定しようとしている。
現在LIBORは、BBAに代わってトムソン・ロイターが1日に1度集計し、公表している。LIBORは主要10通貨の出し手金利で、期間は翌日物から12カ月までの15種類。
BIS
は、集計前に提示された一部の最高金利と最低金利を取り除く手続き(トリム平均)によって故意による操作の可能性は最小化するものの、完全に信頼できるシ
ステムとは言えないとし、「提示する銀行が共謀したり、十分な数の銀行が態度を変えれば、トリム平均も操作が可能だ」と指摘している。
引用終わり
引用
http://kishida.biz/column/2012/20120711.html
イギリスのLIBOR不正操作事件
岸田 徹 【岸コラ】
2012年7月11日(水)
イ
ギリスの名門老舗銀行のバークレイズが、ライボー(LIBOR・ロンドン銀行間金利)を不正操作したとして、イギリスとアメリカの金融規制当局から罰金2
億9千万ドル(約360億円)を支払うよう言い渡された。その責任を取って会長が今月に入って辞任したが、それでは納まらず、実力者のCEO(最高経営責
任者)ダイヤモンド氏も辞任に追い込まれた。
ダイヤモンド氏はバークレイズをイギリスの商業銀行から世界屈指の投資銀行に脱皮させた立役者だとの評価がある一方、ウォール街の強欲文化を堅実なバーク
レイズに持ち込んだアメリカ人だとの悪評もある。事の起こりは、リーマン・ショック直後にあった。
ラ
イボーは、銀行が他の銀行から資金を借りる際に、何パーセントの金利で借りたのかを銀行協会に自己申告し、それを協会が情報通信会社のトムソン・ロイター
社に流し、トムソン・ロイター社が集計の結果を毎営業日公表している。まるで伝言ゲームのような集計方法なので、やろうと思えば、伝言ゲームの途中で実際
の金利とは違う数字に変えてしまうことができる。
ダイヤモンド氏は、リーマン・ショックで金融不安が漂う中、自行の安全性をアピールするため銀行間取引の金利を実際より低く申告したというのだ。高いとこ
んな金利を払わないと貸してくれないのかと信用不安が起こる状況だった。
ラ
イボー(London Inter-Bank Offered
Rate)は、世界中の金融取引で用いられる金利の基準値になっているものだ。その取引額は推計で360兆ドル、2京9千兆円。日本の基準金利は公定歩合
が一般的だが、公定歩合は日銀が市中の銀行に貸し出す際に用いる金利。上下することによって預金金利も貸出金利も上がったり下がったりするのが通例だ。公
定歩合は中央銀行が独自に決める政策的な金利であるのに対し、ライボーは実際に市場で使われている実勢金利を表す。金利の指標としては世界中からの信頼が
厚い。その信頼を裏切ったのだから罪は深いということで処分後一件落着するかと思いきや、ダイヤモンド氏はある事実を「暴露」した。
リー
マン・ショック時に、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行の副総裁から電話があり、「バークレイズが英国銀行協会に申告する取引金利が目立って高
い」(日経新聞)と伝えてきたというのだ。電話の主は金融安定を受け持つ副総裁。これをダイヤモンド氏は数字を下げるように促すサインと受け取り、申告金
利を下げたという。
このことから、イギリスでは、バークレイズだけではなく、他の大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドやロイズ・バンキング・グループも不正操作して
いたのではないかと疑いの声が広がった。
「暴
露」された当時の副総裁はもちろん全面否定しているが、政府の財務大臣は当時の労働党政権の関係者が不正に関与した疑いがあると主張し、問題は政治問題化
している。さらに、リーマン・ショック以降、ライボーの不正申告は他の銀行でも恒常的に行われていたのではないかとの疑いが強まった瞬間、日本の三菱東京
UFJ銀行に籍を置くデリバティブの取引担当者が休職処分になった(一部報道では、オランダでの銀行に勤めていたときの不正行為)。
問題は世界的に広がる傾向だ。バークレイズに罰金を言い渡したのがイギリスの金融規制当局だけではなくアメリカの規制当局も一緒に行っている点は、問題が
世界的であることを示している。
後略
引用終わり
このLIBOR疑惑をどう考えるかだ。
私
の考えは、ゼロ金利政策を世界で最初に始めた日本が世界金融資本の資金調達の場になった。だが、欧米におけるサブプライム・バブル破裂後の、信用危機によ
り日本と欧米との金利差が実質無くなった。ここでLIBORを実態より低く見せることで欧米金融機関は日本の金融機関より健全であると誰かが見せかけよう
としたというものだ。
日本の金融機関にして見れば、外国勢に融資する理由は、
1.海外の金利が高い
(低い金利の通貨を売って高い金利の通貨を買う裁定取引)
2.海外勢が日本勢より財務上で健全である
(金融機関格付け)
こ
の2つの条件があったからだ。ところがサブプライム・バブル崩壊後、1.も2.も成り立たなくなった。つまり邦銀が海外に貸し出す動機が無くなった。それ
を補うためにLIBORが操作されたと私は考えるのだ。何故なら、より低い市中金利で資金を調達できる銀行=財務が健全な銀行、という金融業界の常識が存
在するからだ。
まず日本のゼロ金利政策はどういう風に始まったのか?
引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E9%87%91%E5%88%A9%E6%94%BF%E7%AD%96
ゼロ金利政策(ゼロきんりせいさく)とは、金融政策の一つ。政策目標金利をほぼゼロにすること。
概要
1998年、日本ではバブル崩壊後最悪の経済状況となる中で、大規模な財政政策が取られた。金融政策においても緩和が求められることになり、1999年2
月、日本銀行は短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15%に誘導することを決定した。
こ
の時、当時の速水優日本銀行総裁が「ゼロでも良い」と発言したことからゼロ金利政策と呼ばれるようになった。2000年のITバブル景気を機に一時解除さ
れるが、2001年のITバブル崩壊を機に事実上復活。2006年に景気回復を理由に再び解除となるが、2008年12月の世界金融危機と米国のゼロ金利
導入を機に2008年12月19日に日銀が無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%に設定することを決定。いったんは解除したゼロ金利政策を再び実施
する方向へと舵を切りなおした。
スイスは2003年3月にターゲットレンジの下限をゼロと置いて事実上のゼロ金利政策を導入して2004年9月まで続けた。2008年12月に政策金利を
再びゼロ金利政策を導入した。
アメリカは2008年12月に連邦準備制度理事会 (FRB) がFF金利の誘導目標を年0 - 0.25%に設定し、事実上のゼロ金利政策を取った。
引用終わり
日本がゼロ金利政策を取ってからITバブルが始まり、日本が一時的にゼロ金利政策を解除するとITバブルが崩壊した。ならば、欧米のITバブルを支えてい
たのは日本のお金なのだろう。
日本の銀行は融資先が無いから現在、日本国債を買っている。従って、彼らが自ら何らかの投資・投機活動を行ったというのは考えにくい。
あくまでもゴールドマン・サックスやクレディ・スイスのような国際的な旧投資銀行が日本で資金を調達し、海外に持ち出したと考えられる。何故なら、日本の
銀行にはリスクを取るような体力が無かったからだ。
も
う1つの典型的な例はアイスランドの不動産バブルだ。ここでは、日本円建ての住宅ローンが組まれた。ということは元々の資金は日本で調達されたのだろう。
ところがサブプライム・バブル崩壊後、円が急速に買われ、アイスランドの住宅ローンは支払い不可能となり、アイスランドは国家破産を選んだ。
多くの国際的な旧投資銀行が日本において証券業認可を受けている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%BC%E5%88%B8%E4%BC%9A%E7%A4%BE
主な外国証券会社(東証取引参加者)
日本法人
ゴールドマン・サックス証券(米)
クレディ・スイス証券(スイス)
バークレイズ・キャピタル証券(英)
JPモルガン証券(米)
シティグループ証券(米)
モルガン・スタンレーMUFG証券(米)
メリルリンチ日本証券(米)
ドイツ証券(独)
インタラクティブ・ブローカーズ証券(米)
海外法人(東京支店)
RBS証券(英)
RBCキャピタル・マーケッツ証券(加)
HSBC証券(英)
クレディ・アグリコル証券(仏)
ジェフリーズ証券(米)
ソシエテ ジェネラル証券(仏)
ドレスナー・クラインオート証券(独)
ビー・エヌ・ピー・パリバ証券(仏)
マッコーリーキャピタル証券(豪)
UBS証券(スイス)
ブラックロック証券(米)
引用終わり
ここでの私の主張を箇条書きにすると
1.日本が世界で最初にゼロ金利政策を取った
2.国際金融勢力は日本で資金調達を行った
3.欧米と金利差が存在し、また格付け上も欧米金融機関のほうが上であったために日本の銀行は海外への貸し出しに応じた
4.日本で調達された資金にレバレッジがかけられ運用された。結果としてITバブルやアイスランド不動産バブルを生み出した。
5.欧米におけるサブプライム・バブル破裂後、アメリカとスイスはゼロ金利を採用し、日本との金利差が無くなった
6.奇妙な事に最も深い打撃を受けたはずの欧州の中央銀行ECBはまだゼロ金利を採用してない
7.他方でLIBORというロンドンでの銀行間金利で不正が行われてきたことが明らかになってきた
8.全容はわからないが、欧州勢は自分たちの信用力を大きく見せて資金調達を容易にするためのトリックを使用しているようだ
というのが現時点での私の考えだ。