平成の大政翼賛会

パート8 自由競争

経済学では自由競争あるいは市場原理という言葉がよく出てくる。だが競争は本当に良いことなのか?

こ こでの最大の問題は競争の公平さを誰が保証しているかだ。つまり、競争における規則の公平さである。勝者にとって見れば、自分が勝っている時に、規則を変 える理由がない。敗者には規則を変えるだけの力がない。ということは競争により社会的な格差が固定されてしまう。

つまり競争原理は経済学上は重要な概念だが、実際の社会で通用する考え方ではない。

さらに問題なのが市場の歪みである。競争市場に構造的な歪みがある場合、特定人が必ず勝者になる。何故なら、市場の歪みが特定人に有利に働くからだ。この時、特定人=勝者だ。特定人は、市場の構造的な歪みを取ろう、歪みを正そうと考えるだろうか?

考える訳がない。市場の歪みがアナタに有利に働いている時に、歪みを取るのは自殺行為だ。

特定人にとり最も望ましいのは、敗者がこの「構造的な歪み」に気が付かないことだ。永遠に気が付かないなら特定人の優位は永遠に保たれる。

さらに望ましいのは、弱者に競争を強いることだ。この時、弱者は「市場における構造的な歪み」を知らないとする。そうすると弱者は能力に関係なく敗者になる。しかも見た目は公平な機会が与えられて負けたように見える。

私が「平成の大政翼賛会」と名付けた階層は、みんな「市場における構造的な歪み」を利用している。

政治家: 明らかに憲法違反である供託金を導入することで資産家しか立候補できないシステム/あるいは労組のような強力支持母体が必要

官僚: 東大以外、出世できない

新聞: 押し紙を利用した広告料金詐欺を働き、不当な収益を上げている

TV: 国民の財産である電波を割り当てられているが、正当な対価を支払ってない

国際金融資本: 金融の世界では資金力が豊富な勢力が必ず勝つ

要するに「平成の大政翼賛会」として結集する共通の理由があるのだ。それは「自分たちに有利な市場の歪みを温存すること」である。

この点において新聞やTVが重要な役割を果たしてきた。新聞やTVが報道しないことは国民に伝わらないからだ。ネット上で言われるところの「報道しない自由」だ。

何らかの投資/投機を一度でもやられた方は理解できると思うが「構造的な歪み」を味方にする者は圧倒的に強い。例えば、インサイダー情報だ。

何故、特定の人にだけ企業の内部情報が漏れるのか?「業界の歪み」があるからだろう。ここでの業界は証券業界とは限らない。新聞社においても、一般人より早い時間帯にニュースが流れてくる。しかも、今は夜も私設株式市場が存在するので取引できる(場合がある)。

延々と書いてきたが、

平成の大政翼賛会=「市場における構造的な歪みから利益を得ている結集勢力」

という意味だ。当然ながら彼らは勝者であり強者だ。その勝者であり強者が、競争原理を推奨するのだから、これほど皮肉な話はない。だが新聞やTVが一切、報道しない為に「競争に最初からインチキがある」ことすら日本国民は気が付かない。

残念な話だ。